資料シリーズ No.72
介護における労働者の確保に関する研究
(事業所ヒアリング)
概要
研究の目的と方法
本調査は、介護労働者が安定的に働くためにはどのような取り組みや条件整備が必要かを明らかにする目的で行った厚生労働省からの要請研究を取りまとめた「介護分野における労働者の確保等に関する研究」(労働政策研究報告書No.113)の結果に基づき、介護施設の事業所インタビューを行ったものである。
調査対象事業所は、(財)介護労働安定センターが行った人事労務管理における取り組み事例に関する調査の中で確固とした効果を上げている好事例を有する施設を中心に選定した。調査対象事業所の運営母体は、医療法人2、社会福祉法人4、民間1となっている。
インタビュー項目は、先行して取りまとめられた研究の成果に基づいて作成し、事業概要、採用、賃金制度、評価、仕事の仕方、情報共有の状況、人材育成、健康管理、経営など全般的な状況を網羅した。
主な事実発見
調査結果から、以下のような各施設に共通の取り組みがあることがわかった。
- 組織理念の設定
- 中期計画、年度計画、部門計画の策定と個人目標への落とし込みと達成具合のチェック
- 個人評価と処遇のリンク
- 職能等級的な給与制度を設定することにより、必要とされる能力と技能を明示して職員から長期的なコミットメントを得ることを期待
- 施設数の拡大を通じた職員の育成と定着促進
- インフォーマルな窓口を積極的に活用した従業員の苦情・悩み相談受付
- ボトムアップ型の会議運営など職員コミュニケーションの活性化
これらの取り組みが離職率の低さとなって現れている一方で、次のような共通の課題も明らかになった。
- 施設数拡大に向けて、負債と新規投資のバランスをとることが難しい
- 中堅女性介護職員が出産・育児期に、夜勤対応が困難なため離職する傾向があり、リーダー、管理職クラスの育成が難しい
- 首都圏の採用活動が著しく困難
- 職能等級的な給与制度を職員が認知する前に離職
本文
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執筆担当者
- 山崎 憲
- 労働政策研究・研修機構調査・解析部主任調査員補佐
- 鈴木俊光
- 労働政策研究・研修機構調査・解析部臨時研究協力員
研究期間
平成21年度
お問合せ先
- 内容について
- 研究調整部 研究調整課 お問合せフォーム