調査シリーズNo.269
監視・断続的労働許可又は宿日直許可を受けて
一定期間が経過した事業場における制度運用実態に関する調査
(許可事業場・対象労働者アンケート調査)
概要
研究の目的
働き方改革関連法の法案審議における衆議院附帯決議において、「管理監督者など労働基準法第四十一条各号に該当する労働者の実態について調査するものとすること」が求められている。このうち、同条第3号の監視又は断続的労働に従事する者で、使用者が行政官庁の許可を受けたものの実態について把握する必要がある。そのため、労働基準法第41条第3号に基づく監視・断続的労働許可又は宿日直許可を受けて一定期間が経過した事業場における制度運用実態に関する調査を実施した。
なお、本調査は、厚生労働省労働基準局監督課の要請研究に基づく調査である。
研究の方法
- 調査方法:
- 許可事業場・対象労働者アンケート調査。郵送による配付・回収(オンライン回答併用)
- 調査対象:
-
1)監視・断続的労働許可調査
①事業場調査:
平成30(2018)年1月1日~令和3(2021)年12月31日の4年間に、労働基準監督署への許可申請に対して監視・断続的労働の許可(労働基準法施行規則第34条)が出された事業場の全数(調査対象事業場のリストは、厚生労働省が提供)。
②労働者調査:
監視・断続的労働許可事業場を通じて労働者調査票を1通(管理職を除く)配布。
2)宿日直許可調査
③事業場調査:
平成30(2018)年1月1日~令和3(2021)年12月31日の4年間に、労働基準監督署への許可申請に対して宿日直許可(労働基準法施行規則第23条)が出された事業場の全数(調査対象事業場のリストは、厚生労働省が提供)。
④労働者調査:
宿日直事業場を通じて労働者調査票を1通(管理職を除く)配布。
- 調査期間:
- 2024年7月26日~9月2日(調査時点:2024年4月1日時点)
- 配布数と有効回収数・有効回収率:
-
1)監視・断続的労働許可調査
①事業場調査:配布4,968件/回収2,382件/回収率47.9%
②労働者調査:配布4,968件/回収1,824件/回収率36.7%
2)宿日直許可調査
③事業場調査:配布4,617件/回収2,312件/回収率50.1%
④労働者調査:配布4,617件/回収1,802件/回収率39.0%
主な事実発見
<監視・断続的労働許可調査>
- 事業場調査の回答者属性について、監視・断続的労働を行っている事業場の常用労働者数は、「1~9人」が27.2%と最も高く、次いで、「10~29人」が22.4%、「50~99人」が19.6%などとなっている。事業場の業種は、「医療、福祉」が59.0%と突出して高く、次いで、「サービス業(他に分類されないもの)」が18.6%、「宿泊業、飲食サービス業」が5.4%などとなっている。監視・断続的労働として従事している業務としては、「その他」が49.3%と最も高く、「警備員」が23.1%、「寄宿舎の賄い人、寮の管理人」が20.1%、「修繕に関する業務」が4.1%、「役員専属運転手」が2.8%となっている。
- 事業場調査において、監視・断続的労働に関する許可書を保存し、事業場内で周知するなどして、労働者に許可を受けた内容について周知しているかを尋ねている。それによれば、「許可書を保存しており、監視・断続的労働に従事しない者も含め、事業場の労働者全体に周知している」(22.0%)、「許可書を保存しており、監視・断続的労働に就く労働者やその上司等の関係者にのみ周知している」(66.6%)、「許可書を保存しているが、労働者への周知はしていない」(8.9%)を合わせた「許可書を保存している事業場」は97.5%に及び、「許可書を保存していない、又は、保存しているかわからない」とする事業場は1.7%と少ない(図表1)。
図表1 監視・断続的労働に関する許可書を保存し、事業場内で周知するなどして、労働者に許可を受けた内容について周知していますか(SA、単位=%)【事業場調査】

- 労働者調査において、勤め先が労働基準監督署から受けている監視・断続的労働に関する許可書の内容(対象業務等)について知っているかを尋ねたところ、「許可の内容を概ね知っている」(59.9%)と「許可の内容を一部知っている」(11.7%)を合わせた「許可の内容を知っている・計」の割合は、71.6%となっている。一方、「許可を受けていることは知っているが、許可書の内容までは知らない」は20.9%である。「許可を受けているかどうか知らない」は7.3%とわずかである。
- 事業場調査において、断続的労働がある事業場に対して、断続的労働に就く労働者について、手待ち時間中に、実際に作業を行った時間数を把握しているかを尋ねたところ、「手待ち時間中に発生した作業について、具体的な時間数まで把握している」は52.7%であり、「手待ち時間中に作業が発生したことは把握しており、現状、具体的な時間数までは把握していないものの、今後は把握していきたい」が26.5%、「手待ち時間中に作業が発生したことは把握しているが、現状、具体的な時間数までは把握しておらず、今後も把握するつもりはない」が13.0%となっている。
- 事業場調査、労働者調査いずれにおいても、断続的労働がある事業場での拘束時間(所定労働時間)中に占める手待ち時間の割合を尋ねている。それによれば、事業場調査では、「8割以上9割未満」が32.4%と最も高く、次いで、「7割以上8割未満」(21.0%)、「ほぼ全て」(19.7%)などとなっている。一方、労働者調査では、「8割以上9割未満」が30.1%と最も高く、次いで、「7割以上8割未満」(20.5%)、「ほぼ全て」(14.7%)などとなっている。
- 労働者調査では、「勤務時間中、実際に作業を行った時間数について、会社側に報告しているかを尋ねている。それによれば、「報告している」が67.2%であり、「報告していない」は32.2%となっている。
- 調査では、事業場調査、労働者調査のいずれにも、「監視・断続的労働について、今後よりよい労務管理を実現していくためには、どのような制度が必要か」を尋ねている。必要な制度の具体的な項目としては、「拘束時間が長くなることから、労働者の健康や負担に配慮した措置を講ずるべきである」(事業場40.0%、労働者31.5%)の割合が最も高く、次いで、「許可の取消しの仕組みや、許可の取消しの基準を明確に示した方がよい」(事業場10.1%、労働者8.8%)、「許可に明示的な有効期限をつけた方がよい(更新制とした方がよい)」(事業場7.0%、労働者6.3%)などとなっている。
<宿日直許可調査>
- 事業場調査の回答者属性について、宿直、日直を行っている事業場の常用労働者数は、「10~29人」が28.8%と最も高く、次いで、「1~9人」が17.2%、「50~99人」が16.7%などとなっている。事業場の業種については、「医療、福祉」が63.1%と突出して高く、次いで、「電気・ガス・熱供給・水道業」が9.3%、「サービス業(他に分類されないもの)」が6.0%などとなっている。
- 事業場調査において、宿日直許可書を保存し、事業場内で周知するなどして、労働者に許可を受けた内容について周知しているかについては、「許可書を保存しており、宿日直に従事しない者も含め、事業場の労働者全体に周知している」(33.8%)、「許可書を保存しており、宿日直に就く労働者やその上司等の関係者にのみ周知している」(48.9%)、「許可書を保存しているが、労働者への周知はしていない」(13.3%)を合わせた「許可書を保存している事業場」は96.0%に及び、「許可書を保存していない、又は、保存しているかわからない」とする事業場は3.5%と少ない(図表2)。
図表2 宿日直許可書を保存し、事業場内で周知するなどして、労働者に許可を受けた内容について周知していますか(SA、単位=%)【事業場調査】

- 労働者調査において、勤め先が労働基準監督署から受けている宿日直許可書の内容(対象業務等)について知っているかについては、「許可の内容を概ね知っている」(65.5%)と「許可の内容を一部知っている」(10.2%)を合わせた「許可の内容を知っている・計」の割合は、75.7%となっている。一方、「許可を受けていることは知っているが、許可書の内容までは知らない」は18.9%である。「許可を受けているかどうか知らない」は4.2%とわずかである。
- 事業場調査において、宿日直に就く労働者に、通常、宿日直中にどのような業務に従事させているかについては、「非常事態に備えた待機」が41.7%と最も割合が高く、次いで、「定時の事業場内の見回り」が32.2%、「緊急の文書や電話の収受」が11.0%、「商品等の盗難の防止、火災の防止」が1.2%、「その他」が7.3% となっている。
- 事業場調査では、拘束時間数が、宿日直許可を受けた時点での宿日直の拘束時間数と同じかどうかについて尋ねているが、宿直では、「同じである」が92.6%と大半を占め、日直においても、「同じである」が85.2%と大半を占める。宿直、日直いずれも「同じである」とする割合がほとんどを占めていることに違いはなく、「長くなっている」とする事業場はほとんどない。一方、労働者調査においても、拘束時間は、許可された時間数(時刻)と同じであったかを尋ねているが、宿直では、「許可された時間と同じであった」が85.7%と大半を占め、日直においても、「許可された時間と同じであった」が82.8%と大半を占めている。
- 事業場調査において、宿日直に就く労働者が、宿日直中に、突発的な事情で、通常業務や緊急事態への対応(通常業務・緊急対応)を行うことがあったかを尋ねている。それによれば、宿直については、「宿直の時間帯に、通常業務・緊急対応を行った実績があり、その対応に要した時間数についても把握している」が43.2%と最も高く、次いで、「宿直の時間帯に、通常業務・緊急対応を行った実績はなかった(通常業務・緊急対応を行ったことについて報告を求めており、その報告がなかった場合など)」も40.5%となっている。一方、日直についても、「日直の時間帯に、通常業務・緊急対応を行った実績があり、その対応に要した時間数についても把握している」が38.2%と最も高く、次いで、「日直の時間帯に、通常業務・緊急対応を行った実績はなかった(通常業務・緊急対応を行ったことについて報告を求めており、その報告がなかった場合など)」も36.0%となっている。
- 事業場調査において、宿直中に通常業務・緊急対応を行った日数は、「月4日未満」が65.1%と最も割合が高く、次いで、「月4日~7日」が12.3%、「月20日以上」が11.0%などとなっている。一方、日直中に通常業務・緊急対応を行った日数は、「月1日」が35.6%と最も割合が高く、次いで、「月3日~4日」が20.7%、「月9日以上」が17.0%などとなっている。
- 労働者調査において、宿直中の通常業務・緊急対応の発生状況については、「全く発生しなかった」が58.0%と過半数を占めている。発生した場合を頻度別にみると、「宿直4回につき1回以下であった」が27.0%、「宿直3回につき1回は発生した」が4.0%、「宿直2回につき1回は発生した」が3.9%、「ほぼ毎回発生した」が6.5%となっている。日直中の通常業務・緊急対応の発生状況においても、「発生しなかった」が64.1%と過半数を占め、「発生した」は33.7%となっている。
- 労働者調査において、宿直での通常業務・緊急対応の時間数は、「1日あたり平均30分以上1時間未満」が31.7%と最も割合が高く、次いで、「1日あたり平均30分未満」が30.9%となっており、1時間未満で約6割を占めている。日直での通常業務・緊急対応の時間数は、「1日あたり平均30分以上1時間未満」が28.2%と最も割合が高く、次いで、「1日あたり平均30分未満」が20.7%となっており、1時間未満で約半数を占めている。
- 労働者調査において、宿日直中に通常業務・緊急対応が発生した場合に、会社側に報告しているかについては、「報告している」が82.0%と大半を占めており、「これまでに就いた宿日直で通常業務・緊急対応が発生したことはない」が11.4%であり、「報告していない」は4.3%である。
- 調査では、事業場調査、労働者調査のいずれにも、宿日直について、今後、よりよい労務管理を実現していくためには、どのような制度が必要かを尋ねている。それによれば、事業場調査では、必要な制度の具体的な項目としては、「特定の労働者が集中的に宿日直に入ることがないよう、適切なシフト作成・運用に労働者も協力するべきである」が30.9%と最も割合が高く、次いで、「許可の内容を超えた宿日直(回数、時間数)や、通常業務・緊急対応を行った日については、労働者の健康や負担に配慮した措置を講ずるべきである」が28.2%、「宿日直手当の計算方法を見直し、手当額がもっと高くなるようにした方がよい」が17.1%などとなっている。一方、労働者調査では、「宿日直手当の計算方法を見直し、手当額がもっと高くなるようにした方がよい」が36.5%と最も高く、次いで、「許可の内容を超えた宿日直(回数、時間数)や、通常業務・緊急対応を行った日については、労働者の健康や負担に配慮した措置を講ずるべきである」が21.8%、「特定の労働者が集中的に宿日直に入ることがないよう、適切なシフト作成・運用に労働者も協力するべきである」が20.5%、「労働者の睡眠時間を確保するための措置を講ずるべきである」が15.9%などとなっている。
本文
分割版
研究の区分
課題研究 令和6年度「労働基準法第41条第3号に基づく監視・断続的労働許可又は宿日直許可を受けて一定期間が経過した事業場における制度運用実態に関する調査研究」
研究期間
令和6~7年度
調査担当者
- 奥田 栄二
- 労働政策研究・研修機構 調査部長
- 奥村 澪
- 労働政策研究・研修機構 調査員
- 郡司 正人
- 労働政策研究・研修機構 リサーチフェロー
お問合せ先
- 内容について
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