調査シリーズNo.258
人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(労働者調査)
概要
研究の目的
民間企業における人材育成と能力開発についての取り組みの現状と課題の把握を目的として、労働者を対象としたアンケート調査を実施した。厚生労働省が実施する『能力開発基本調査』では調査対象となっていない30人未満の小企業に勤務する労働者も対象に含め、中小零細企業で働く労働者の状況についても把握するものとした。
なお、本調査は厚生労働省人材開発統括官からの要請を受けて行った。
研究の方法
- 調査方法:
- インターネット調査
- 調査対象:
- 民間調査会社が保有する登録モニターのうち、以下の条件に合致する人から、10,000人分の回答を回収した。
・性別:男女
・年齢:18歳~65歳
・居住地:全国(国内)
・雇用形態:正社員および直接雇用の非正社員。ただし、直接雇用の非正社員は、そのうち契約社員、嘱託、パートタイマー・アルバイトのみ
・勤務先:次の業種に該当する勤務先
「建設業」「製造業」「電気・ガス・熱供給・水道業」「情報通信業」「運輸業,郵便業」「卸売業,小売業」「金融業,保険業」「不動産業,物品賃貸業」「学術研究,専門・技術サービス業」「宿泊業,飲食サービス業」「生活関連サービス業,娯楽業」「教育,学習支援業」「医療,福祉」「複合サービス事業」「サービス業(他に分類されないもの)」・勤務する会社の規模:従業員5人以上
- 調査実査期間:
- 令和6年10月15日~11月5日
主な事実発見
- 2023年度に、会社の業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(=OFF-JT)を受講したかを尋ねた。13.7%が「受講した」と回答している。規模別にみると、規模の大きい企業に勤める人ほどOFF-JTを受講している。「9人以下」では4.5%に留まっているが、「10~29人」では7.8%、「30~99人」では10.7%、「100~299人」では13.5%、「300人以上」では17.1%が受講している(図表1)。
図表1 OFF-JTを受講した人の割合(規模別)

- 仕事に関わる自己啓発(自発的に行う教育訓練)を2023年度に行ったかどうかを尋ねた。14.9%の人が自己啓発を「行った」と回答している。規模別にみると、規模の大きい企業に勤務する人ほど自己啓発を行っている。「9人以下」では6.5%に留まっているが、「10~29人」では7.5%、「30~99人」では9.9%、「100~299人」では13.8%、「300人以上」では19.4%が自己啓発を実施している(図表2)。
図表2 自己啓発を実施した人の割合(規模別)

- 実施した自己啓発の内容は「仕事に関連する専門的知識」が5割(49.8%)で最も割合が高く、次いで「資格取得に必要な知識」が3割弱(28.4%)となっている。「AI・IT等の専門的知識」は2割(20.9%)で、2020年に実施した同様の調査と比較して5ポイント上昇している(図表3)。
図表3 自己啓発の内容(複数回答、調査年別)

政策への貢献
厚生労働省の「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」の研究会資料および報告書において活用された。
本文
分割版
研究の区分
情報収集
研究期間
令和6~7年度
調査・執筆担当者
- 郡司 正人
- 労働政策研究・研修機構 リサーチフェロー
- 岩田 敏英
- 労働政策研究・研修機構 調査部主任調査員補佐
関連の研究成果
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