調査シリーズNo.257
人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(企業調査)

2025年11月19日

概要

研究の目的

民間企業における人材育成と能力開発についての取り組みの現状と課題の把握を目的として、アンケート調査を実施した。厚生労働省が実施する『能力開発基本調査』では調査対象となっていない小規模企業(30人未満)も対象に含め、小規模企業の状況についても把握するものとした。

なお、本調査は厚生労働省人材開発統括官からの要請を受けて行った。

研究の方法

調査方法:
郵送によるアンケート調査
調査対象:
日本標準産業分類に基づく「建設業」、「製造業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」、「サービス業(他に分類されないもの)」に属する従業員数5人以上の企業20,000社。
調査実査期間:
令和6年10月15日~11月8日
有効回収数:
6,116社(30.6%)

主な事実発見

  • 労働者の能力開発方針の決定主体(A:企業主体で決定、B:労働者個人主体で決定)は、「企業主体で決定している」(「Aである」14.4%+「Aに近い」50.0%)とする企業割合が64.4%と約3分の2を占め、「労働者個人主体で決定している」(「Bである」5.0%+「Bに近い」28.3%)とする33.3%を大きく上回っている。規模別にみると、いずれの規模でも半数以上は、「企業主体で決定している」と回答している。ただし規模の小さい企業では、規模の大きい企業に比べ、「労働者個人主体で決定している」とする割合が高くなっている(図表1)。

図表1 労働者の能力開発方針の決定主体(規模別) 【A:企業主体で決定/B:労働者個人主体で決定】

図表1: 労働者の能力開発方針の決定主体(A:企業主体で決定、B:労働者個人主体で決定)は、「企業主体で決定している」(「Aである」14.4%+「Aに近い」50.0%)とする企業割合が64.4%と約3分の2を占める。規模別にみると、いずれの規模でも半数以上は、「企業主体で決定している」と回答している。

  • 従業員の能力開発・向上を図るため、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(OFF-JT)を、2023年度に実施したかどうかを尋ねたところ、約3分の1(31.6%)の企業がOFF-JTを「実施した」と回答している。規模別にみると、規模の大きい企業ほどOFF-JTを「実施した」と回答している。「9人以下」では16.2%に留まっているが、「10~29人」では30.4%、「30~99人」では45.2%、「100~299人」では60.5%、「300人以上」では76.1%が実施している(図表2)。

図表2 業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(OFF-JT)の実施状況(規模別)

図表2: 従業員の能力開発・向上を図るため、業務命令に基づき、通常の仕事を一時的に離れて行う教育訓練・研修(OFF-JT)を、2023年度に実施したかどうかを尋ねたところ、約3分の1(31.6%)の企業がOFF-JTを「実施した」と回答している。規模別にみると、規模の大きい企業ほどOFF-JTを「実施した」と回答している。

  • 2023年度に、従業員の自己啓発に対する支援を行ったかどうかを尋ねたところ、約3割(29.2%)の企業が「行った」と回答した。規模別にみると、規模の大きい企業ほど自己啓発に対する支援を行っている。「9人以下」では20.8%に留まっているが、「10~29人」では27.5%、「30~99人」では37.8%、「100~299人」では46.1%、「300人以上」では61.1%が支援を行っている(図表3)。

図表3 従業員の自己啓発に対する支援の有無(規模別)

図表3: 2023年度に、従業員の自己啓発に対する支援を行ったかどうかを尋ねたところ、約3割(29.2%)の企業が「行った」と回答した。規模別にみると、規模の大きい企業ほど自己啓発に対する支援を行っている。

政策への貢献

厚生労働省の「今後の人材開発政策の在り方に関する研究会」の研究会資料および報告書において活用された。

本文

分割版

研究の区分

情報収集

研究期間

令和6~7年度

調査・執筆担当者

郡司 正人
労働政策研究・研修機構 リサーチフェロー
岩田 敏英
労働政策研究・研修機構 調査部主任調査員補佐

関連の研究成果

お問合せ先

内容について
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