調査シリーズNo.173
人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査結果(労働者調査)

平成29年8月31日

概要

研究の目的

「日本再興戦略」改訂2015でも人材等への投資により生産性を高めることが重要と指摘されるなど、人材育成や能力開発の必要性が高まっている。こうしたなか中小企業では、時間的、資源的制約やノウハウの不足などを背景として人材育成・能力開発が不十分なものになりがちであることから、中小企業の現状や今後の活動の方向性に即した政策的支援の必要性が高い。また、特に中小零細企業の教育訓練の実態を把握する必要があるとの指摘もある。そのため、既存の統計調査(能力開発基本調査)では調査していない小規模な企業(30人未満)に勤務する労働者も対象に含め、人材育成、能力開発の実態を把握するための個人調査を実施した。なお、本調査は厚生労働省職業能力開発局(現・人材開発統括官)からの研究要請を受けて行った。

研究の方法

インターネット調査

楽天リサーチが保有する全国の約227万人(調査実施時点:平成28年11月)の登録モニター(以下「モニター」という)のうち、以下の条件に合致する者から、1万人分の回答を回収した。

  • 性別:男女
  • 年齢:18歳~65歳
  • 居住地:全国(国内)
  • 雇用形態:正社員および直接雇用の非正社員。ただし、直接雇用の非正社員は、そのうち契約社員・嘱託、パート・アルバイトのみ
  • 勤務先:次の業種に該当する勤務先
  • 「建設業」、「製造業」、「電気・ガス・熱供給・水道業」、「情報通信業」、「運輸業,郵便業」、「卸売業,小売業」、「金融業,保険業」、「不動産業,物品賃貸業」、「学術研究,専門・技術サービス業」、「宿泊業,飲食サービス業」、「生活関連サービス業,娯楽業」(その他の生活関連サービス業のうち家事サービス業を除く)、「教育,学習支援業」、「医療,福祉」、「複合サービス事業」、「サービス業」(他に分類されないもの、外国公務を除く)
  • 勤務する会社規模:従業員5人以上

主な事実発見

従業員が9人以下の会社に勤務する従業員の3割以上(34.2%)は、OJTの経験がないと自覚。

図表1 仕事を効果的に覚えるために、いまの会社で仕事をするなかで経験した人材育成や能力開発(OJT)の方策(複数回答) 単位:%

図表1画像

平成27年度にOFF-JTを受講した従業員は1割台(14.7%、正社員だけでみても16.5%)。30人未満の会社に勤務する従業員の9割以上は受講していない。

図表2 平成27年度におけるOFF-JTの受講の有無 単位:%

図表2画像

受講したOFF-JTによって得られた技能・知識などが仕事に役立った(「役に立った」+「どちらかというと役に立った」)とする人の割合は、【正社員】、【契約社員】、【パートタイマー・アルバイト】のいずれも8割以上。

図表3 OFF-JTの仕事への役立ち 単位:%

図表3画像

政策的インプリケーション

小規模企業になるとOJTの経験がないと認識する人やOFF-JTを受講していない人が多くなるが、OFF-JT受講者では8割を超える人(パートも含め)が得られた知識・技能が仕事に役立ったと回答しており、企業規模にかかわらず従業員に対する人材育成・能力開発は引き続き重要である。

政策への貢献

人材開発行政にかかる政策立案のための基礎資料として活用される

本文

全文がスムーズに表示しない場合は下記からご参照をお願いします。

研究の区分

研究期間

平成28~29年度

執筆担当者

郡司 正人
調査部次長
藤本 真
人材育成部門主任研究員
荒川 創太
調査部主任調査員補佐

データ・アーカイブ

本調査のデータが収録されています(アーカイブNo.98)。

関連の研究成果

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