調査シリーズNo.153
介護者の就業と離職に関する調査

平成28年5月31日

概要

研究の目的

介護離職の実態を把握し、家族の介護を担いながら働き続けることのできる支援の課題を明らかにするため、介護期の働き方や勤務先の両立支援制度の利用状況、離転職の経験、要介護者の状態や家族との介護分担、介護サービスの利用状況等を調査する。

研究の方法

アンケート調査

主な事実発見

  1. 施設介護を含む全介護期間の平均は39.5か月であり、10年を超えるケースもあるが、在宅介護に限ればその平均は18か月。在宅介護期間が3年を超えると介護発生当時の勤務先を勤め続ける同一就業継続率は低下する。
  2. 介護発生当時の勤務先に介護休業制度がある場合は介護終了まで同じ勤務先で仕事を続ける割合(同一就業継続率)が高い。法定を超える介護休業制度については分割取得が可能である方が同一就業継続率は高くなる。だが、在宅介護期間が3年を超えると介護休業制度の有無による同一就業継続率の差はみられなくなる。
  3. 在宅介護期間が3年以内であれば、介護発生時の勤務先に短時間勤務制度や始業・終業時刻の繰上げ、所定外労働免除の制度がある場合に同一就業継続率は高くなる。在宅介護期間が3年を超えた場合は、1日の作業量やスケジュールの裁量がある場合の同一就業継続率が高い。

図表1 介護休業制度の有無別 介護発生から終了までの就業継続割合
―在宅介護期間別―
(介護発生時雇用)

図表1画像

図表2 1日の作業量の裁量の有無別 介護発生から終了までの就業継続割合
―在宅介護期間別―
(介護発生時正規雇用)

図表2画像

政策的インプリケーション

平成28年3月に成立した改正育児・介護休業法によって、介護休業の分割取得を可能にしたこと、勤務時間短縮等の措置の期間を3年に拡大したこと、所定外労働免除を新設したことは介護離職を抑制する効果が期待できる。だが、在宅介護期間が3年を超える場合の対応についてはさらなる議論が必要である。

政策への貢献

平成27年度の労働政策審議会雇用均等分科会において育児・介護休業法の改正案を検討するための資料として活用された。また、厚生労働省雇用均等・児童家庭局において今後の仕事と介護の両立支援のあり方を検討するための資料として活用しうる。

本文

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お詫びと訂正

本文3ページ第1-1 表の年齢欄の記載に誤りがありましたので、お詫びして訂正いたします。
訂正後のp.3 第1-1 表(PDF:367KB) HPに掲載の本文PDFには、訂正が反映されています。

誤)
第1-1 表 年齢 60~69歳
正)
第1-1 表 年齢 60~64歳

研究の区分

緊急調査「仕事と介護の両立に関する調査」

研究期間

平成27年度

執筆担当者

池田 心豪
労働政策研究・研修機構主任研究員

入手方法等

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成果普及課 03(5903)6263

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