海外労働情報13-11
マレーシアの労働政策
—中長期経済政策と労働市場の実態—
概要
研究の目的
本書は、マレーシアの労働政策の最近の状況をまとめたものである。マレーシアでは、外交と安全衛生を除く多くの政策は、長期経済政策の枠組の中で立案される。現在実施中の長期経済政策は、2010年に策定された「新経済モデル」(2011年~2020年)で、「先進国=高所得国」実現を目標としている。長期経済政策のもうひとつの重要な柱は、プミプトラ(マレー人)、中国人、インド人の人種間の所得格差是正である。したがって、現在の経済政策は、先進国=高所得国の実現と格差是正の二面性を帯びた政策である。その中での労働分野の政策に関する要点は、高所得国実現のため労働集約型産業から高付加価値産業へ転換すること、現在の労働集約型産業を担っている外国人労働者をいかに減らすかということ、解雇規制を緩和し労働市場の柔軟性を促進することなどである。具体的には、女性労働力や高齢者の活用のための制度整備、その一環としての定年年齢の引き上げ(55歳から60歳へ)、失業保険の設置や失業者への訓練機会の提供、最低賃金の引き上げなどの施策を通じて対策されている。以上のとおり、本書では、マレーシアの「新経済モデル」のアウトラインを説明するとともに、労働政策の諸施策の具体的内容と課題を詳細に紹介、解説している。
本文
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付随情報
研究期間
平成25年度
執筆担当者
- 坂井 澄雄
- 労働政策研究・研修機構
(所属は執筆当時)
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