2019年州別最低賃金と地域別、産業別の動向

2018年11月にインドネシア全国で2019年1月1日から実施される州別最低賃金が決定した。首都のあるジャカルタ特別州の最低賃金月額は3,940,972ルピアである。

最低賃金の決定手続き

インドネシアの最低賃金は、2015年に規定された政令78号に基づき、「一人の労働者が適正な生活を送るために必要な費用」を各州の州知事が決定するもので、毎年11月には確定し、翌年1月1日から実施される。

最低賃金の計算は、基本的に、物価上昇率と経済成長率の前年比を考慮して、独身の労働者が物理的に適正な生活を1カ月間送るために必要な複数の生活必需品目の総額として計算される(注1)

州別最低賃金額はやや停滞ながらも上昇

主な州の2019年最低賃金額をみると、ジャカルタ特別州が3,940,972ルピア、西ジャワ州が1,668,372ルピア、東ジャワ州が1,630,058ルピア、中部ジャワ州が1,605,396ルピア、リアウ諸島が2,769,754ルピア、バンテン州が2,267,965ルピアであった。前年比の法定賃金上昇率はいずれの州も8.03%であり、2017年が8.25%、2018年が8.71%であったことと比較するとやや停滞した傾向が見られる。しかし、下表のとおり10年前の2009年、5年前の2014年の法定最低賃金額(月額)と比較すると、各州とも10年間で2倍以上の額と大幅に上昇している。()

表:州別法定最低賃金(月額 2009年、2014年、2019年) (単位:ルピア) 表:画像

出所:2009年、2014年の金額はBSP(統計局)資料から、2019年は2018年11月1日政府発表資料から作成した。

今後の課題

2000年代に入り経済成長が著しいインドネシアでは、生活必需品目の金額が急激に上昇した。これに伴い、労働者の賃上げの要求も強まり、2013年改定時のジャカルタ特別州の最低賃金額は前年月額比較で153万ルピアから220万ルピアに約45%上昇した。その後も上昇を続け、2019年の最低賃金額は10年前と比較すると3.5倍となっている。()

図:最低賃金額の長期的推移(ジャカルタ特別州) (単位:ルピア)
図:画像

政令78号の全国的な浸透もあり、近年インドネシアでは全国的に最低賃金は上昇傾向にある。しかし、経済成長率と物価上昇率の前年比で一律に決められることに反発する勢力もあり、実際には州毎のほか、県、市のレベルでの地域的なばらつきが大きい。たとえば、2018年10月には西ジャワ州のデポック市で労働組合が、政府があらかじめ決めた最賃上昇率8.03%では不十分であるという理由で、前年比25%の上昇を知事に強く要求する運動を起こしている。中部ジャワ州のスマラン市でも労働組合が同様の要求を行い、同市は最低賃金を国の基準をわずかに上回る8.16%増の月額2,498,588ルピアに決定した。

インドネシアの最低賃金の決定過程では、州別の法定最低賃金額をベースに、上記のように地域別の状況が反映されており、そのための労使関係の不安定さが内在している。実際の企業の現場で労働者の不満をどのように解消するかという課題も残っている。さらに、インドネシアの就業者の構成をみると、インフォーマルセクターの就業者が多いことから、最低賃金が適用されない就業者も数多く見られる。

インドネシアは、今年10月が大統領選挙である。2015年に成立したジョコウィ政権が再選されるか、改選されるか。そうした中での課題の解決が注目される。

参考資料

(最終閲覧日:2019年1月30日)

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