政府「就業率70%達成のためのロードマップ」を発表

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2013年7月

政府は6月4日、中流階級を70%に拡大することを目的とした「就業率70%達成のためのロードマップ」を発表した。朴政権は、2013年5月現在60.4%の就業率を2017年までに70%に引き上げる目標を掲げている。長時間労働の削減、仕事と家庭生活の両立、パートタイム雇用を含む多様な就業形態の促進により、2017年までに238万(年平均47万6000)の雇用を創出し、このうちの93万(38.7%)をパートタイム雇用が占める計画である。ロードマップの概要は以下のとおり(表1)。

創造的経済の実現による雇用創出

政府は、起業のための財政支援制度を融資から投資に重点を置いたものに変更する。規制緩和や新しい資格の導入、市場の再活性化により、将来有望な500の職業を創出するため職業開発タスクフォースを設立する。

政府は、現在13の政府機関と16の地方政府機関が進める1124件の中小企業支援事業を統合、あるいは雇用創出事業に変更する。政府の資金で運営される研究機関は、資金の一定割合を中小企業向け協力プロジェクトに使用する。中小企業を基盤のしっかりした中堅企業に育成するための成長支援策を策定する。大企業と中小企業が共に恩恵を得られる協力関係の基盤づくりを進める。

政府は、医療や教育、保健活動に関する規制を緩和し、付加価値の高いサービス産業を育成する。サービス部門の研究開発投資を2017年までに倍増する。新たに創出される238万の雇用の内訳は、成長サービス163万3000(健康・社会福祉80万、専門職・科学・技術関連33万7000、情報通信16万、芸術・スポーツ・レクレーション関係21万2000、行政と防衛12万4000)、製造業20万、その他54万8000となっている。

労働時間短縮、柔軟な労働時間制による仕事と生活の両立

政府は、2012年に2092時間であった年間総労働時間を2017年までに1900時間に短縮する目標を掲げている。このため、現在は時間外労働とみなされない休日労働を時間外労働の限度時間(1週12時間)に含めるとともに、労働時間規制から除外されている12の特例業種を10に減らす方針である。また、ソフトウェア開発などの創造的な経済関連の職種に関しては、2014年から裁量労働制を拡大適用する。

政府は、不合理な差別がなく、最低賃金や4大社会保険などの基本的労働条件が保証された働き甲斐のあるパートタイムの仕事を広範囲に普及させる。公共部門で2014年から7等級以下の一般職公務員の中から競争を通じてパートタイムの公務員を採用する。新しく導入される仕事やパートですぐに補充できる仕事をパートタイム雇用に変更する。パートの教員を採用するための法整備も行う。

民間部門では、働き甲斐のあるパートタイムの仕事を創出する企業に対し、臨時の優遇税制や社会保険料の助成を適用する。労働者に1年間の育児休暇に加えて、1年間の育児期間中に短時間勤務制度を活用するよう奨励する。企業が育児休暇中の労働者の代替要員としてパートを採用した場合、最大2名まで代替労働者の人件費を助成する。

女性、若者、中高年者の労働市場参入を積極的に支援

政府は、女性の就業を促進するため、育児休暇制度や公共および企業内保育サービスを大幅に拡充する。育児休暇の分割取得可能回数を2回から3回に増やし、適用児童の年齢を6歳から9歳に引き上げる。出産休暇から育児休暇まで一括で申請できる「自動育児休暇」を定着させる。また、妊娠や出産、育児休暇後に大量の女性労働者が退職する企業に対し、徹底的な監査を行う。企業内に保育所を設置するための基準を緩和するとともに、国公立の保育施設の収容規模を現在の保育児童全体の20%から2017年までに30%に拡大する。

政府は、女性に優しい社会福祉関連の仕事を25万創出する目標に基づき、介護サービスの質や介護労働者の劣悪な労働条件を改善するための指針に加えて、社会福祉の仕事を創出する計画を策定する。

政府は、若者が早期に労働市場に参加することを奨励する政策を実施する。韓国式の徒弟制度である仕事と学習のデュアル・システム(OJTと理論学習)を導入する。中小企業と若者との間の構造的ミスマッチの解消を目的とするタスクフォースを設置し、中小企業の雇用環境を改善するための助成金制度の拡大、中小企業での長期勤続を奨励する優遇措置の強化、若者向け中小企業雇用情報システムの確立、各地域における共同人材管理制度の設立――などについて議論する。

政府は、60歳定年制の定着、退職者の再就職に向けた支援制度を設ける。60歳定年制の早期導入を奨励するため、定年年齢を延長する企業に対し助成金を支給する。定年年齢と賃金制度に関する調査を実施する。50歳以上の労働者は、退職を遅らせるため、1週当たり15~30時間まで労働時間短縮を要求できる制度を導入する。関連省庁は連携して、退職者の職業相談や職業訓練、再就職サービスを行うキャリア支援制度を設ける。

非正規労働者の保護、差別是正に向けた対策の強化

政府は、「期間制および短時間労働者保護法」と「派遣労働者保護法」を改正し、懲罰的な金銭補償制度を導入する。公共部門は2015年までに、常時・継続的な業務に従事する非正規労働者を正規雇用に転換する。社会保障制度の枠外にある特殊形態労働従事者(宅配便トラック運転手、生コン運搬トラック運転手、学習支援教師等)に雇用保険や労災保険の適用を拡大する包括的な保護対策を講じる。

表1:雇用ロードマップ基本的な方向

参考:雇用労働部Web情報

参考

  • 雇用労働部Web情報

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