福利厚生手当額の差が拡大
―労組員と非労組員、過去10年で
民間企業の労働組合員と非組合員とを比較すると、組合員の方が賃金が高いだけではなく、雇用主負担の福利厚生手当額の面でも上回っている。このうち福利厚生手当額は、2001年から2011年までの10年間で、組合員と非組合員との差が時間あたり4.27ドルから7.11ドルに拡大していることが、労働省統計局の報告でわかった。
賃金額の差はほぼ変わらず
まず、民間企業の組合員と非組合員の1時間あたり賃金が2001年から2011年までの10年間でどのように変化したかみてみよう。2001年に18.36ドルだった組合員の賃金は2012年には23.02ドルへと伸びている。一方、非組合員は14.81ドルから19.51ドルになった。その差はどちらもおよそ3.5ドルとほとんど開いていない。
次に、1時間あたりの福利厚生手当額をみてみよう。2001年の組合員で9.45ドルが、2011年には14.67ドル伸びた。非組合員は同時期に、5.18ドルから7.56ドルになっている。10年間でその差が4.27ドルから7.11ドルへと拡大した格好だ。
10年の伸び率では違った様相が浮かび上がる。賃金額では組合員が約1.25倍、非組合員が約1.32倍、福利厚生額では組合員が約1.55倍、非組合員が1.46倍だった。つまり、組合員は賃金額の上昇幅が非組合員よりも低い分を福利厚生額の上昇幅で取り戻していることになる。 (なお、比較に用いられた数字はすべて3月期のもの)
サービス・建設・製造業で大きい賃金格差
2012年12月の組合員と非組合員の賃金格差を職業別に見た場合、その差がもっとも低かったのが販売等で1.97ドル、ついで管理・専門職で2.77ドルの差だった。
一方、組合員と非組合員の差が広かったのが、サービスの9.29ドル、天然資源・建設の10.26ドル、製造・輸送・資材運搬の7.37ドルだった。
組合員に対する非組合員の賃金率でみると、サービスがもっとも低い53.2%、ついで、天然資源・建設の64.5%、製造・輸送・資材運搬の65.6%、販売等の89.0%、管理・専門職の92.6%だった。
顕著な年金、医療、有給休暇の差
福利厚生手当を内容別に見た場合でも、組合員と非組合員で差がある。とくに、確定給付型年金、医療サービス、個人的理由による有給休暇取得において差が顕著にあらわれた。
雇用主負担の福利厚生サービスに誰でも利用できるとする数値を100とした場合、「確定給付型年金」で組合員が82、非組合員が21、「医療サービス」で組合員が93、非組合員が69、「個人的理由による有給休暇取得」で組合員が59、非組合員が38、そのほか「生命保険」で組合員の85、非組合員の57とその差が大きくなっている。
確定給付型年金は将来の給付額を保証するもので、掛け金を負担するだけで給付額が減っても埋め合わせない確定拠出型と比べて安定している。
また、有給休暇の付与には、日本と異なり、ほとんどの州で法的義務がない。その種類も、有給休日、有給病気休暇、有給旅休暇、個人的理由による有給休暇にわかれている。そのうち、有給病気休暇が組合員の84、非組合員の64、個人的理由による有給休暇が組合員の59、非組合員の38となっている。
参考
- Monthly Labor Review ,April
- nonunion compensation, 2001-2011, April 2013.
参考レート
- 1米ドル(USD)=96.44円(※みずほ銀行ウェブサイト
2013年6月12日現在)
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