2011年のワーキングプアが1040万人に
就労しているにもかかわらず収入が貧困ラインを下回るワーキングプアの数が2011年に労働者の7%、1040万人になったことを労働省統計局BLSレポート4月号が明らかにした。ワーキングプアとは保健福祉省によって提示される貧困ガイドライン(注1)の収入を働いているにもかかわらず下回っている状態のことである。貧困ガイドラインは、世帯人数、世帯年収等により定められている1。たとえば、平均的な州の単身者は1万890ドル、4人家族であれば2万2350 ドルといった具合である。就労者以外でみれば、人口の15%、4620万人がこの貧困ガイドラインを下回っている。
高いパートタイム労働者の比率
フルタイムで働く労働者のうちワーキングプアの状態にあるのは4.2%だった。一方、パートタイムで働く労働者は23.5%で、パートタイムがフルタイムに比べてワーキングプアの状態に陥りやすくなっている。
パートタイムで働く労働者のうち、自らパートタイムを選んでいる自発的パートタイム労働者の9.7%、やむを得ずパートタイムを選んでいる非自発的パートタイム労働者の23.5%がワーキングプアと大きな比率を占めている。
BLSリポートはその原因として、低賃金、失業期間の長さ、非自発的にパートタイム労働を選択していることの3つをあげている。
女性に多いワーキングプア
男女比では女性が男性よりもワーキングプアとなる比率が高い。16歳以上の男性労働者でワーキングプアの状態にある人は6.2%に留まるのに対して、女性は8.0%である。
若年労働者もワーキングプアの比率が高い。45から54歳が5.1%、55から64歳が3.9%、65歳以上が1.7%であるのに対して、16から19歳が11.3%、20から24歳が14.0%である。その原因は、若年層の賃金が低いことと失業率が高いことにあるとする。
ワーキングプアが少ない高学歴
学歴も影響がある。
高卒未満の労働者でワーキングプアの状態にあるのは20.1%と高い。高卒は9.2%、短大卒で4.6%、学士以上の学歴だと2.4%と、高学歴になるほどワーキングプアとなる比率が下がる。
この傾向は男性よりも女性に大きい。高卒未満の男性が17.9%に対して女性が23.6%、高卒の男性が7.7%に対して女性が11.3%、短大卒の男性が4.6%に対して女性が7.7%、学士以上の男性が2.2%に対して女性が2.5%だった。
職業別にワーキングプアの比率をみると、管理職や専門職など、賃金が比較的に高い職業に就く労働者がワーキングプアとなる比率がもっとも低く、2.2%にとどまる。
一方で、高学歴を必要としない職業に従事する労働者がワーキングプアとなる比率が高い。サービス業では13.1%、農業.漁業.林業では17.2%、建設業では10.6%がワーキングプアである。
母子・父子家庭に多いワーキングプア
同居の状況もワーキングプアであるかとうかと関連がある。
18歳未満の子供を養育する家庭の13.1%がワーキングプアとなっている。一方、子供のいない家庭は2.9%に留まる。
子供を養育する家庭のうち、母子家庭の28.7%、父子家庭の16.7%がワーキングプアだが、両親がいる家庭では7.4%となっている。
また、家族と同居していない労働者のうち、ワーキングプアは10.7%だった。年齢別では、10代が40.3%、20から24%が21.1%と、若年ほどワーキングプアの比率が高い。そのうち、誰かと同居している者の13.7%がワーキングプアであるのに対して、単身生活者は8.1%となるなど、生活苦から他のワーキングプアと同居を選択していることが窺われる。
リーマン.ショック前後の状況をみると、2007年の5.1%がリーマン.ショックの起きた2008年に6.0%となり、2009年に7.0%となってから高止まっている。
注
48 州およびワシントンD.C. | Alaska | Hawaii | |
1人 | 10,890 | 13,600 | 12,540 |
2人 | 14,710 | 18,380 | 16,930 |
3人 | 18,530 | 23,160 | 21,320 |
4人 | 22,350 | 27,940 | 25,710 |
5人 | 26,170 | 32,720 | 30,100 |
6人 | 29,990 | 37,500 | 34,490 |
7人 | 33,810 | 42,280 | 38,880 |
8人 | 37,630 | 47,060 | 43,270 |
以後一人増ごとに+ | 3,820 | 4,780 | 4,390 |
出典: Federal Register, Vol. 76, No. 13, January 20, 2011, pp. 3637-3638
参考
- BLS REPORTS, A Profile of the Working Poor, April 2013.
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