世界の失業者数、初の2億人台へ
―ILO報告、2013年の見通し

カテゴリー:雇用・失業問題

ILOの記事一覧

  • 国別労働トピック:2013年1月

国際労働機構(ILO)は1月22日、年次報告書「世界の雇用情勢2013年」を発表した。それによると、13年の世界の失業者数は、前年より510万人増え、2億200万人に達する見込み。2億人台に乗るのは初めてだ。14年以降も失業者は増加すると予想しており、17年には2億1060万人に達し、失業率も6%に高止まる可能性がある、と指摘している。

世界の失業者数は、2008年の世界金融危機後、急激に増加し、その後2011年まで一旦は緩やかに減少したが、2013年に再び増加する見通しである。この要因についてILOは、2012年の欧州、日本、アメリカなど先進国の情勢悪化が金融市場や輸出入等を通じて世界各地に波及したためと分析しており、この傾向は今後しばらく続くと見込んでいる。

図1.世界の雇用情勢の推移と予測 (2002年-2017年)

図1.世界の雇用情勢の推移と予測(2002年-2017年)合計失業者数および合計失業率

出所: ILO, Trends Econometric Models, October 2012.

また、失業者は長期化する傾向にあり、先進国・欧州諸国では求職者の33.6%が1年以上失業しており、危機前の28.5%からその割合は増加している。特に日本では39.4%とその割合が高いことを指摘している。

なお、特に雇用情勢が深刻なのは15歳~24歳の若年者で、世界で約7,380万人(失業率12.6%、2012年)が失業中で、今般の景気減速によって2014年までにはさらに約50万人が増加すると予測している。

ILOは、特に先進国に対して、断片的な金融部門や政府債務への政策を小出しに実施するのではなく、予測可能な一貫した包括的投資促進・雇用創出策を打ち出し、特に債務危機の影響を受けた国々に対する信用できる出口戦略を早急に取る必要がある、としている。このほか、必要があれば公共投資を通じた総需要調整を図るようなマクロ経済政策の実施、長期失業や産業構造変化に対応した訓練政策への取組、若年雇用、特に無職の若者への就業促進政策などが重要だとして、各国への取組みを求めている。

参考資料

関連情報