ベトナム政府、韓国の雇用政策をモデルとして採用

カテゴリー:雇用・失業問題

韓国の記事一覧

  • 国別労働トピック:2012年6月

韓国雇用労働部とベトナム労働傷病兵社会問題省は4月23日、ベトナムの雇用法制制定における協力プロジェクトに関する協定を締結した。同協定に基づき、韓国の専門家が雇用政策・制度に係る6分野について、ベトナムの担当者に直接、政策的助言を行うという。

労働法改正に関する協力協定を締結

ベトナム政府は、1995年の施行以来、これまで3回改正された現行の労働法と関連する雇用関係法規を見直し、別個の新たな雇用関係法を制定するための作業を進めている。労働傷病兵社会問題省が法案を作成し、国会に提出する予定となっている。ベトナム政府は、先進諸国やOECD加盟国の雇用政策について調査した結果、労働法改正のモデルとして、韓国の雇用政策・制度を採用することを決定した。

韓国雇用労働部のイ・ギウォン副長官は4月末、韓国とベトナムの国交樹立20周年を記念してベトナムを訪問し、ベトナム労働傷病兵社会問題省のファム・ティ・ハイ・チュィエン大臣との間で、ベトナムの雇用法制制定における協力プロジェクトに関する協定に署名した。

韓国の専門家が直接助言

今回の協力プロジェクトは、雇用政策分野で長年実務経験を積んだ韓国の専門家が、雇用法制の制定に関するニーズに応じたアドバイスをベトナム側の担当者に直接行うものである。雇用労働部が編成した民間専門家、OBや現役の官僚から成るチームが、雇用政策、雇用支援サービス、労働市場情報、職業紹介、能力開発、雇用保険の6分野について政策的助言を行う予定である。プロジェクトの実施にはかなりの時間と労力を要するため、プロジェクト期間は中長期に及ぶと予想されている。

韓国雇用労働部は、今回のプロジェクトは機材供与を目的としたこれまでの政府開発援助(ODA)とは異なり、韓国が雇用労働分野の政策的ノウハウを輸出する初めてのケースになるとしている。また、プロジェクトを通じて雇用労働分野のODA専門家を育成し、韓国の人材が海外で活躍する機会を増やすことにより、国際社会における韓国の地位の向上に貢献することを目指している。さらに、雇用労働部は、フィリピンのような開発途上国において職業訓練や労働安全衛生の分野の政策的助言を行うことにより、こうしたプロジェクトをさらに拡大したいとしている。

緊密な両国の交流

韓国には、これまで雇用許可制度に基づき約6万人のベトナム人労働者が働きに出ており、こうした労働者の本国への仕送りは年間6億ドルから7億ドルにのぼるといわれている。韓国雇用労働部によれば韓国で働く外国人労働者の25%をベトナム人労働者が占めているという。イ・ギウォン雇用労働部副長官は、ベトナム滞在中に雇用許可制度に基づき韓国に入国するベトナ人労働者のための事前の職業訓練機関を視察した。ベトナム政府は、韓国で働くベトナム人労働者が韓国の労働市場について理解を深めるよう広報活動を促進していくとしている。

他方、ベトナムには多数の韓国企業が進出し、ベトナム人労働者を貴重な労働力として活用している。イ・ギウォン副長官は、ハノイの韓国人商工会議所幹部と面会し、韓国進出企業がベトナムで円滑に操業できるよう支援を行っていくと約束した。

参考

  • 韓国雇用労働部Web情報
  • 韓国労使発展財団・国際協力センター(KOILAF)Web情報

2012年6月 韓国の記事一覧

関連情報