最低賃金基準を引き上げ
―福建、山西、天津など

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2011年4月

最低賃金引き上げの動きが広がっている。先に引き上げを決めた北京に引き続き、福建省、山西省、天津市でも、最低賃金基準が見直された。福建省福州市の五区及び福清市、長楽市の最低賃金基準月額は950元に引き上げられ、アモイ市の最低賃金基準月額は、省内最高の1100元となった。

福建省では初めて1000元超えに

福建省の最低賃金基準月額は、1100元、950元、850元、750元の四等級に分類されている。平均の伸び率は21.99%。パートタイムの時間当たり最低賃金基準額は、11.60元、10元、9元、7.90元の四等級に分類され、平均の伸び率は19.94%となった。福建省における最低賃金は、昨年の3月以降再度の上方改定となる。今回の見直しは最高で200元の伸び幅となり、アモイ市の思明区など6つの区では900元から1100元への見直しが行われ、省内で最高額となると同時に、省内で最低賃金基準が初めて「1000元」を超えることとなった。また福州市の五区、泉州などの地区は、第二等級に分類され、800元から950元への引き上げが行われた。この他、省内の三、四等級の賃金基準も、それぞれ700元から850元、600元から750元へと引き上げられた。

現在、周辺の労働力は構造的に不足しており、多くの工場が労働力不足の問題を抱える。中には食事と宿舎込みで2000元以上の報酬を提示する工場もあるが、それでも労働者を充分に確保できないのが実情だ。福州市にある工場の多くは、一般労働者に対してすでに最低賃金を上回る賃金水準を達成しており、最低賃金基準の引き上げが経営コストに与える影響はそれほど大きくないと見る向きもある。

山西省は最大増加額130元

山西省は、現行の月最低賃金基準を4月1日より、それぞれ一類980元(旧850元)、二類900元(旧780元)、三類820元(旧710元)、四類740元(旧640元)に引き上げた。今回の見直しでは、最大増加額が130元、最低でも100元となった。時間当たり最低賃金基準も改定され、フルタイムの時間当たり最低賃金基準額は一類5.63元、二類5.17元、三類4.71元、四類4.25元、パートタイムの時間当たり最低賃金基準額は一類10.8元、二類9.9元、三類9元、四類8.1元となっている。

天津市は企業の給与水準引上げを促す

天津市でも4月1日から最低賃金基準月額が現行の920元から1160元に引き上げられた。増加額は240元。パートタイムの時間当たり最低賃金も8.8元から11.6元に引き上げられ、今回の見直しは、天津市の最低賃金制度史上、最高の増加額及び伸び幅を示すものとなった。

また、最低賃金基準の大幅な引き上げ以外にも、企業の給与水準の引き上げを促す企業給与指導ベースラインの引き上げが行われた。上限ラインは22%に据え置かれたものの、ベースラインが15%から16%に、下限ラインは6%から7%に、それぞれ1%ずつ引き上げられた。さらに、住民サービス業、宿泊飲食業、レンタルサービス業など、比較的収入の低い三業種に対する業種別賃金指導ラインが示され、住民サービスが13%、宿泊飲食業が11%,レンタルサービス業が18%となった。

参考

  • 海外委託調査員、『中国労働保障報』(4月2日付)

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