複数労組解禁、労組専従者への賃金支給禁止
―労組法及び労働関係法を改正

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2010年2月

企業レベルの複数労働組合を解禁し、企業の労組専従者への賃金支給を禁止する労慟組合法及び労働関係法の改正法が今年1月1日に成立した。

このうち、複数労組は1年半の猶予期間を経て2011年7月に解禁される。使用者が同意すれば複数労組はそれぞれ使用者と交渉できるが、そうでない場合は使用者との交渉窓口を一本化しなければならず、改正法はその方法を定めている。

まず複数の労組が話し合って自律的に代表を決定することができる。これによって決定できない場合は、複数労組の全組合員を合計した人数の過半数を組織している労組が代表権を有する。このような過半数労組が存在しない場合は、複数労組による合同交渉代表を構成することができる。ただし、この代表に参加できるのは全労組員数の10%以上の組合員を有する労組のみと限定している。

複数労組が合同交渉代表を構成できない場合は、労働委員会に交渉代表選出を申請し、委員会の決定に従う。また、たとえば複数労組のうち、ある労組が非正規労働者のみで構成され、他の労組との雇用形態や労働条件などが極めて異なっているなどのケースでは、労使双方あるいは一方の申請を受付けて、労働委員会は複数労組との交渉を認める決定を下すことができる。

改正法は、これまでの労働協約の有効性に関しても記述し、今年6月までに締結された協約は以降2年間を有効期間としている。

企業の労組専従者への賃金支給禁止は2010年7月から実施する。例外規定が設けられているのが大きな特徴だ。「タイムオフ」(勤労時間免除)と呼ばれるもので、ある一定の勤労時間免除の範囲で、(1)労使間の協議・交渉、苦情処理、安全衛生など労使の共同行動(2)労組の維持および運営活動ーに関しては賃金が支払われる。このうちの(2)の活動内容について、与党ハンナラ党は「大統領布告によって規定された通常の組合活動」との語句を付するよう提案していたが、「健全な労使関係の発展のための維持および運営活動」との表現で決着した。政府が規定するのではなく、この枠組みの中で労使が判断するという内容だ。

改正法は、タイムオフの適用の拡充など専従者賃金の支払いなどを要求しての労働争議を禁止している。

タイムオフの上限は、労働省の下に勤労時間免除審議委員会(公労使の各5人で構成)で3年ごとに設定する。上限時間は現在審議中で、今年4月30日までに決定する。

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