雇用情勢の悪化を受け、政府が追加の雇用対策を実施

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2009年4月

労働部は就業者数の減少と失業者数の急増に見舞われる現下の厳しい雇用情勢に対処するため、雇用創出と雇用維持支援を主眼する4兆9000億ウォンに上る緊急措置を補正予算案に盛り込んだ。この追加措置により、55万人の新たな雇用創出を目指す。

2月の失業手当新規受給者、前年同期比76.6%増

2月の雇用失業情勢は、就業者数が前年比0.6%減の2274万2000人、失業率が前年比0.4ポイント上昇の3.9%、失業者数も同10万5000人増の92万4000人に達するなど、各指標は引き続き悪化を示している(下表参照)。

また労働部がこのほど発表した2月の失業手当受給者数は40万428人に達し、失業給付総額は前年同月比で約4割増となる3103億ウォンに上った。これらは失業保険制度が1996年に全面導入されて以来の最も高い数字となる。失業手当受給者のうち、初めて受給する者は2008年12月の9万3000人から1月12万8000人に増加、2月は10万8000人と落ち着いたものの、前年同期比では 76.6%増となった。また、同月の雇用安定事業による雇用調整助成金の支給総額も制度導入の1996年以来の最も高い水準となり、助成金対象者数14万2073人、助成金支給総額は296億ウォンに達した。対象者数は前月比4.4倍、前年同月比で実に31倍となる。韓国の雇用調整助成金は日本の雇用調整助成金と同様に景気変動や産業構造の変化等に伴い事業活動の縮小を余儀なくされる企業が従業員の解雇を行わず、休業や職業訓練を実施する場合に支給される。こうした失業手当及び助成金の受給者等の急増は、国内経済の悪化に伴う雇用情勢の急激な悪化を反映したものである。

出所:統計庁Web

55万人の雇用創出を見込む

このような雇用情勢のさらなる悪化を受け、政府部内では追加の経済・雇用対策の検討が進められていたが、今般、労働部は2009年1月に発表した総額5兆4000億ウォンに上る雇用対策の実施に加え、さらに4兆9000億ウォンの追加措置を講じることを発表した。今回の追加の措置は3月末に国会提出が予定される29兆ウォン規模の補正予算案の目玉のひとつとなる。李明博大統領が「労使民政・非常経済対策会議」の場で「雇用創出が政府の今年一番の目標になる。他の予算を削って雇用創出関連予算を増額するつもりである」と述べているように、同追加対策により、約55万人の雇用創出を見込んでいる。以下の内容が具体的な雇用創出とその目標人数である。

  • 公的部門における臨時雇用(6カ月程度)の創出―40万人
  • 公立小中学校における学習補助実習生の採用―2万5000人
  • 公共施設や中小企業等において採用された大卒未就職者等の実習生に対する賃金助成 ―6万8000人
  • 植林、養護施設などにおける直接雇用創出―3万3000人 など。

また、雇用維持、再就職支援としては、ワークシェリングの一環で労働者が無給休暇に入った場合に平均賃金の40%までを一定期間支給するほか、建設等の日雇労働者への職業訓練プロジェクトなどが盛り込まれた。さらに最近の失業率の上昇、失業者の急増を踏まえて失業手当予算も1.6兆億ウォンまで増額されている。

資料出所

  • 統計庁Web、労働部Web、NNA関係記事

参考レート

  • 100韓国ウォン(KRW)=7.21円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2009年3月26日現在)

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