双竜自労組、民主労総から脱退へ

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  • 国別労働トピック:2009年10月

双竜自動車の労働組合が上部組織の全国民主労働組合総連盟(民主労総)から脱退を決定した模様だ。組合員間では破産寸前まで長期ストライキを打った労組執行部の強硬策に対し批判が強まっていた。メーカー労組の民主労総脱退は初めてで、8月にもIT産業大手のKT労組が脱退しており、民主労総にとっては大きな痛手となる。他の労組の動向や今後の労働争議のあり方にも影響を与えそうだ。

組合員の約7割が賛成

脱退を決める組合総会で投票したのは双竜自労組全組合員3,508人のうち75.3%に当たる2642人。脱退に賛成したのは全体の73.1%に当たる1931人、反対は10.0%の264人にとどまった。

ただしこの決定を受けた労組執行部と民主労総側は「総会の開催は執行部の了解を得ておらず手続き上問題がある」として、ソウル南部地方裁判所に投票結果の無効訴訟を起すとしている。今回の総会は、執行部の方針に対立する組合員らが主導したと見られる。

双竜自労組は経営側の大規模リストラ案に反発して77日間にわたるストを繰り広げ、損失額は3160億ウォン(約240億円)に上った。経営状態が極度に悪化している会社を相手に過激な闘争を長期間続ける執行部に対し組合員は次第に反発を強め、「問題解決に役立たない」と民主労総傘下の全国金属労働組合(金属労組)にも不信感を強めていた。それが今回の投票結果につながったといえる。

双竜自は15日にも裁判所に再建案を提出する予定。民主労総からの脱退は債権団の心証を変え、会社の再建には有利になるとの見方も出ている。

今後の闘争方針に影響も

民主労総を支える最大勢力は、自動車メーカーの労組を傘下に持つ金属労組。双竜自労組の脱退は単なる1労組の脱退にとどまらず、自動車関連の他労組にも影響が及ぶ恐れがある。韓国の労使関係は、大企業を中心に、労組が全面ストなどの強硬な手段で要求を通すことで知られる。しかし最近の景気の悪化に伴い、これまでの強硬な闘争方針を疑問視する向きが強まっていた。民主労総もこうした傾向に配慮し「対話による交渉」の姿勢を打ち出してはいるが、実態は従前とそれほど変わっていない。7月には、民主労総の下部組織、情報技術(IT)連盟の最大労組であるKTが、賛成率94.9%で民主労総を脱退したばかり。来月にはソウル、大邱、光州の3つの地下鉄労組が脱退を予定しており、今後、他労組の動きも注目されている。

参考資料

  • NNA、聯合ニュース他

参考レート

  • 100韓国ウォン(KRW)=7.65円(※みずほ銀行リンク先を新しいウィンドウでひらくホームページ2009年10月5日現在)

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