高齢者の就業率、依然として低位
―2007年の労働力調査

カテゴリー:高齢者雇用非正規雇用統計

EUの記事一覧

  • 国別労働トピック:2008年9月

欧州統計局(Eurostat)は8月、2007年労働力調査の集計結果の概要を発表した。就業率の伸びは2006年に比して若干鈍化したものの、女性や高齢者(55~64歳層)の就業率の増加に牽引され、堅調に推移している。ただし、加盟国間の格差が大きいことから、特に高齢者については、EUが2010年までの目標として掲げる就業率を大きく下回る結果となっている。

女性の就業率は順調な伸び

2007年のEU27カ国の就業者数は2億1850万人で、15~64歳層の就業率は前年から0.9ポイント増の65.4%となった。加盟国別では、デンマーク(77.1%)、オランダ(76.0%)、スウェーデン(74.2%)など欧州北部の国々で就業率が高く、マルタ(55.7%)、ポーランド(57.0%)、ハンガリー(57.3%)など南欧・東欧諸国では相対的に低位の国が多い。

このうち、女性の就業率は58.3%で前年比1.1ポイントの増加となった。国別にはやはりデンマーク(73.2%)、オランダ(69.6%)、スウェーデン(71.8%)で高く、マルタ(36.9%)、イタリア(46.6%)、ギリシャ(47.9%)などの南欧諸国を中心に低い傾向にある。

また、高齢者(55~64歳層)については、前年から1.2ポイント増の44.7%。高齢者の6~7割が就業しているスウェーデン(70.0%)、エストニア(60.0%)、デンマーク(58.6%)から、マルタ(28.3%)やポーランド(29.7%)、ルクセンブルク(32.0%)など3割前後にとどまる国まで、分散が大きい。

EUは、就業率に関する2010年までの目標として、15~64歳層について70%、女性について60%、高齢者について50%を掲げている。このうち、女性については概ね目標値を達成しつつあるが、高齢者については、このところ大幅に改善してはいるものの、依然として目標値から5.3ポイントと乖離が大きい。このため、高齢者(及び15~64歳層全体)の就業率については、目標値の達成は難しいと現地メディアなどはみている。

パートタイム労働者比率は旧加盟国で高率

併せて公表されたパートタイム労働者比率の結果は、EU27カ国平均で18.2%。オランダの46.8%を除けば、ドイツ(26.0%)、イギリス(25.5%)などの多くの旧加盟国では20%台もしくはその前後となっている。特にオランダについては、女性労働者に占めるパートタイム労働者の比率が75%と圧倒的に高いのが特徴だ(他の旧加盟国では20~40%台)。一方、ブルガリアの1.7%やスロヴァキアの2.6%など、東欧諸国などでは低い傾向にある。

EU27カ国の就業率とパートタイム労働者比率(2007年)

図

出典:"Labour Force Survey 2007 - Employment rate in the EU27 rose to 65.4% in 2007" Eurostat newsrelease 104/2008, "European Union Labour Force Survey-Annual results 2007" Eurostat Data in focus 27/2008

関連情報