不法移民の合法化
―2007年には60万人以上が合法化されると予想
2007年1月1日、ルーマニアとブルガリアがEUに加盟。これにともないスペインでは、両国出身の不法滞在者の合法化が行われる。政府は、2006年に不法に滞在・労働していたルーマニア人19万人及びブルガリア人3万7000人が、2007年には「EU市民」として滞在できるようになり、また労働許可も取得するとみている。
また、2007年は外国人法施行規則で規定される「スペイン社会への定着」要件に基づく合法化が本格的に始まる年とされる。カルデラ労働大臣は、2006年12月20日、下院で、「スペイン社会への定着を証明できる不法移民は、すべて2007年を通じて合法化する」と明言した。ちなみに、スペイン社会への定着を証明できる不法移民とは、3年前からスペインに在住している、雇用契約を結んでいる、あるいはスペイン国内に家族がいることが証明できる者(在住している市町村当局が社会的定着を証明する報告書を提出してもよい)を意味する。
外国人労働者問題を専門とする弁護士団体等によれば、この「社会的定着」により合法化される移民の数は40万人から60万人にのぼる。これにルーマニアとブルガリアのEU加盟に基づく合法化を加えると、2007年に合法化される移民数は60万人を超えることが予想される。これは、かつて最大の合法化であった2005年の57万人を上回ることになる。
「社会的定着」による合法化申請は、主として前回(2005年)の合法化に際して求められた「2004年8月8日より前からスペインに在住していた」という条件を満たせず、合法化されなかった移民が、「スペイン在住期間3年」に達成する2007年8月以降に集中するものと見られる。2005年の合法化の際にも、労働省の移民担当長官が「今回合法化されなかった者でも、その他の手段によって将来的に合法化の道が残されている」として、「社会的定着」による合法化を間接的に言及している。
このようにスペインでは不法移民の合法化が続いている。しかし、2007年2月21日に研究機関のIESE-ADECCOが発表した報告によれば、2006年第4四半期の外国人労働者の失業率は11.8%と、スペイン人労働者の7.7%を大きく上回っている。こうした状況下で外国人労働者の増加が続くなか、スペイン労働市場の吸収の限界を危惧する声もあがっている。
2007年3月 スペインの記事一覧
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