2007年の外国人労働者割当制度による受け入れ数を発表~増加傾向続く

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2007年2月

スペイン政府は2006年12月22日、2007年向け外国人労働者割当制度による受入れ労働者数を2万7034人とすることを決定。2006年の1万6878人から大幅な増加となった。しかし、国内における外国人労働者の需要は増え続けており、割当制度による受入数は今後の労働市場のニーズに応じて変更されることとなる。

外国人労働者割当制度とは、政府が各自治州や主要労組、雇用者団体等の提案に基づいて、職種別に必要な外国人労働者の数を県別・年ごとに決定する制度である。割当制度による雇用契約の場合、雇用主はある特定の外国人労働者個人を指定せず、基本的に職種だけ指定して雇用を提供し、雇用者団体、労働省の関係機関、最終的には労働者出身国にあるスペインの在外公館を通じて労働在留許可申請の手続きを行う。割当制度の中で一番需要が多いのは建設業であり、これに次いでホテル・飲食業、サービス業および金属工業となっている。

2006年の割当制度では1万6878人の雇用が予定されていたが、労働省によれば、2006年上半期に雇用された外国人労働者11万6002人のうち割当制度による雇用は4万7576人で、既に上半期の段階で予定数を大幅に超えている。割当制度は産業や職種別に外国人労働力の需要を把握し、それに合わせて外国人労働者の流入を調整しようという考え方に基づくもの。しかし、外国人労働者雇用の実態が割当制度による数値とかけ離れたものになっていることからもわかるように、実際には労働市場のニーズを柔軟かつ迅速に反映しにくいというのが実情だ。

こうしたなか、最近では、手続きの迅速化を望む企業が、国内で労働者を見つけることが特に困難な職種として指定されたリスト(CODC)による制度を利用するケースが増加している。CODCは2005年7月1日から実施されている制度で、自治州政府の雇用機関から提供される情報をもとに県ごとに作られ、3カ月ごとに更新される。リストには羊飼い、船員、印刷業労働者からスポーツ選手まで種々の職業が含まれるが、リストにある職種の労働者を探している場合、雇用主は公的雇用サービス機関に求人の申請を行わず、雇用したい外国人労働者の在留・労働許可を直接求めることができる。

CODCも、割当制度と同様、外国人労働者を出身国で雇用する方法の一つである。しかし、雇用主が現地で人選を行い、雇用したい労働者を決定した上で在留・働許可申請を行う点が割当制度と大きく異なる(現地での求人活動には在外スペイン公館の協力を得ることができる)。探している労働者がCODCのリストに載っている職種のものであれば、外国人労働者の出身国での雇用に先立って「スペイン国内に求職者がいるかどうか」という公的雇用サービス機関による審査を受ける必要がない。

外国人労働者の需要増加傾向が続くなか、少しでも早く外国人労働者を雇用したい中小企業を中心に、CODCの利用度はますます高まると予想されている。

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