2007年欧州機会均等の年、サミット開催

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2007年2月

2007年1月30日、31日、ベルリンにて欧州機会均等サミットが開催された。雇用・社会問題・機会均等担当のヴラジミール・シュピドラ委員、ドイツの家族問題・高齢者・女性・若年者担当のウルスラ・フォン・デア・ライエン大臣の他、労働組合や使用者団体、NGO、若年者グループが参加した。

欧州機会均等の年に際して、EUの世論調査機関ユーロバロメーター(Eurobarometer)が行なった調査結果によると、欧州の人々のうちの51%が差別への取り組みが不充分であると考えており、64%が差別は悪化していると感じている。障害者の79%、ロマ(注1)の77%、50歳以上の者の69%が差別を受けていると考えており、民族の違いによる差別があると考える者も62%と高い割合になっている。

管理職への女性登用が必要と考えている者が全体で77%、管理職者の中でも72%いる。また、68%の人が家族に関する責任が障害となって女性が管理職に就くことができないと考えている。

既存の法律によって差別が禁止されていることに対する認識は低いという結果が出た。年齢差別が法律で禁止されていることを認識しているのは31%、性差別に関しては30%しか認識していない。

このような状況に対して、EUの雇用と社会連帯のための新しいプログラム「PROGRESS」が2007年から2013年までの予算にもりこまれている。EUレベルのプログラムへの予算として1500万ユーロ、各国、各地域、各地方レベルの予算として765万ユーロが計上されている。このプログラムには27のEU加盟国のほか、アイスランド、リヒテンシュタイン、ノルウェーが参加する。国レベルの活動については、EUからの補助金が予算の半分を超えてはならず、各国政府や公的機関などが残りの半分以上を支援しプロジェクトが実行される。

各国プロジェクトの概要については下記の表にまとめた。

図表:各国で実施予定のプロジェクト
国名 支援額(ユーロ) 主な対象 主な内容
(EU) (各国)
オーストリア 215,250 215,250   権利平等促進キャンペーン
ベルギー 258,300 259,055 障害者 教師の教育訓練
ブルガリア 215,250 231,130   メディアキャンペーン
キプロス 120,000 120,000 ジェンダー DVD作成
チェコ 249,183 249,183    
デンマーク 150,600 939,000   企業を対象とする賞の創設
エストニア 100,000 100,000   全国会議の開催
フィンランド 150,600 150,600   フェスティバル開催
フランス 624,000 624,000 若年移民 就業支援
ドイツ 624,100 808,846   企業を対象とする賞の創設
ギリシャ 257,894 257,894 高年齢者 解決策の研究・分析
ハンガリー 258,300 258,300   コンテスト開催
アイスランド 119,774 119,774    
アイルランド 150,600 311,400 高齢者 キャンペーン実施
イタリア 624,100 624,100 民族差別 スポーツ大会の実施
ラトビア 100,130 100,130   教育プログラム
リヒテンシュタイン 95,000 95,000    
リトアニア 150,600 150,600   ジャーナリスト対象の賞の創設
ルクセンブルグ 120,000 120,000 移民女性 ドキュメンタリー制作
マルタ 120,000 120,000   コンテストや法律家会議の開催
オランダ 279,000 280,111   委員会の設置や市内ガイドツアー実施
ノルウェー 150,600 194,140 女性・障害者  
ポーランド 581,100 581,100   メディアのトレーニング
ポルトガル 258,300 260,276   議長国セッションの開催
ルーマニア 301,300 301,300 性差別 マラソンの実施
スロバキア 150,600 152,257 性差別・民族差別 演劇等開催
スロベニア 120,000 243,608   メディア向けのトレーニング
スペイン 581,000 702,656   教材作成
スウェーデン 215,250 320,506 若年者 討議会合の実施
イギリス 624,100 640,000 若年者・民族問題 地域レベルの若年者が参加するイベント

出所:欧州委員会ホームページ資料より作成

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