労働党政権二期目の雇用動向予測

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2007年2月

労働党政権は2007年1月1日に2期目の政権就任式を行い、今後4年間は年間平均5%以上の経済成長を達成すると公約した。しかし、民間部門の間には、労働市場における好転の期待は望めないとした悲観論が拡がっている。インフォーマル市場が肥大化しており、政府の税収、社会保障費の徴収は低下、支出のみ拡大していることがその理由。従って、雇用増加、所得向上は、当分見るべき成果は出せないだろうという見方が一般的だ。

ルーラ大統領の第1期の任期4年間の公約は1000万人の正式新雇用創出であった。しかしこれは達成されないまま任期は終了した。第2期目には、こうした数値目標を公約に盛り込むことを避けており、新たな雇用拡大への期待は縮小している。総人口の約30%が居住する6大都市圏は、雇用数でも最も大きい割合を占めているが、これが2006年中で246万4000人の新規雇用増にとどまったことも、2007年以降の労働市場に関する期待感を薄くしている。6大都市圏の失業率は2003年の12.3%が、2006年は11月までで年平均10.1%にまで下がっており、政府は2007年も更なる下降を予想しているが、経済活動の基盤が脆弱なため、失業率の下降は政府の予想通りは進まないのではという見方が強い。

労働党政権第1期目においては、就労者全体の収入低下や、若年層の失業増加が課題となった。若者の初就職支援計画として、政府が大々的に宣伝していた国家初就職計画は、実際には効果を見せていない。さらに、労働党政権が発足する以前2002年の就労者全体の平均収入に追いつくためには、まだ実質2.1%の収入増加が必要である。これを回復したあとに、ようやく2003年以降の低下分を取り戻すことになり、就労者にとっては、4年以上の期間が失われた期間とも言える。

ブラジル地理統計資料院(IBGE)の発表によると、2002年の実質収入は月間1078.92レアル(約5万6398円)であったが、2004年は961.08レアル(約5万0238円)に下がり、2006年は労働党政権下で最高の収入水準に達したものの、まだ1056.60レアル(約5万5321円)の水準に留まっている。

政府は、2007年以降年平均5%以上の成長を続行させるための経済政策を実施すると発表しているが、中央銀行は銀行、企業、経済コンサルタントなど民間予想を基に、好条件が揃っても最高で年間平均は3.55%に留まると見ており、2010年になって3.65%程度の成長との見方を示している。

参考

  • 海外委託調査員

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