海外で就労するフィリピン人メイド、今後はスキルだけでなく、就労先の言語や文化の習得も必要に

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年9月

海外で就労するフィリピン人労働者(OFW)数が増加する一方で、違法斡旋業者や雇用主間とのトラブルも大きな問題となっているフィリピン。特に、メイドについては虐待の対象になりやすく、その対応策が求められていた。こうしたなか、ブリオン新労働雇用相は、低技能であることが虐待を受けることにつながるとし、2006年7月29日、海外でメイドとして働くフィリピン人の技能向上のために必要な改革に着手する旨を発表した。

今後は、国内での経験や訓練が不十分なメイドの不正書類による送り出しを食い止め、スキルだけでなく就労する国・地域の言語や文化を十分に習得した者だけを送り出すことを目指す。これにより、メイドとして海外での就労を希望する者は、(1)技術教育技能開発庁(TESDA)の技能審査を通過しなければならない、(2)さらに海外労働者福祉局(OWWA)が実施する言語と文化に関する訓練を受けなければならない――ことになる。

また、海外雇用庁(POEA)は、TESDAとOWWAが発行する証明書を持たない申請者の手続きを一切行わない。こうしてPOEAによる正式な手続きを受けた国内のメイドだけが、就労希望国の大使館及びフィリピン領事館で労働許可を与えられる。

ブリオン氏はさらに、フィリピン海外労働事務所(POLO)が政府機関や組織とネットワークを構築する必要性について言及。POLOとPOEAは、フィリピン人労働者に対して虐待や給料の不払いなどの不正な行為を行った雇用者に関するブラックリストを作成しなければならないと主張した。

この他にも、海外で就労するフィリピン人メイドの待遇の改善策として、現在全ての国で「200米ドル」とされている最低賃金について、香港の市場価値にあわせた引き上げを要求する構えもみせた。

ブリオン氏は、「これまで斡旋業者と雇用者の双方により、経験や訓練が不十分なメイドが正式な書類手続きも踏まずに海外へ送りだされるというケースが多発していたが、今回の改革はこうしたケースを著しく減少させることになる」と、改革への強い意欲と期待を強調した。

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