インターネットを基盤とする労働組合の設立

カテゴリー:労使関係

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  • 国別労働トピック:2006年6月

オランダ一般独立労働組合(De Unie)とサービス労働者組合(CNV)は、組合費が安く、敷居の低い、インターネットを基盤とする労働組合を設立した。労働組合に関心はあるが、完全な組合員資格を欲しない労働者に対し、新たな代替案を提示することを目指している。これに先立ち、オランダ労働組合連盟(FNV)は、ホテル、レストラン、ケータリング産業において、伝統的な組合員の代替案となる、寄付金形式による選択肢を導入した。寄付者は、ずっと安い金額しか支払わなくてもよいが、ストライキの際には、別個に資金を拠出しなければならない。

De Unieのインターネット労組は、組合非加入の労働者の組織化を目指している。このグループには、若者のほか、柔軟な雇用契約の人々や従業員のいない自営業者などが含まれる。彼らは、主に35歳以上で、既にいくらかのキャリアを積み、保険の観点から組合加入に関心を持っている人々である。De Unie はまた、これまで伝統的な組合に加入することに興味を示さなかった女性や外国人を組織化対象と見ている。

インターネット労組は、情報源やヘルプデスクとなっており、団体交渉への参加も目指している。同労組はまた、労使関係や労使紛争に関する問題について、労使に情報交換する機会を提供するもう1つの無料のウェブ・サイトを立ち上げた。このサイトには、職場における紛争を回避するいくつかの提案などが掲載されている。

インターネット組合員は、年間10ユーロで、労働条件や使用者との潜在的な紛争に関する質問を、ヘルプ・デスクに1度相談できる。その後の相談は、1回10ユーロかかる。インターネット労組はまた、訓練プログラムやキャリア・カウンセリングなどの雇用関連サービスを、組合員に対して1割引で提供している。組合員および非組合員は、サイト上で意見交換ができ、それらの意見は団体交渉に反映される。

団体協約の締結に関し、インターネット労組は、De Unieなど、既存組合との同盟を模索している。De Unieはインターネット組合ではないが、この新しい組合を全面的に支援している。既存インフラの活用により、新組合は、組合費を安くすることができる。インターネット労組は、初年度に5000人の組合員を加入させたいとしている。また、De Unieの伝統的組合員約8万人がインターネット労組に加入し、反対に、インターネット労組が、De Unie組合員への架け橋となることを期待している。

これらの試みは、次第に減少する労働組合員数への対応策として出てきた。例えば、オランダ労働組合連盟(FNV)の組合員数は、2004年に1.7%減少し、120万人となった。しかし、労働組合は依然として、労働者の顕著な部分を代表している。インターネット労組の設立は、伝統的労働組合が新しい組合員を発掘することにつながるかもしれない。

出所

  • 欧州労使関係観測所(EIRO)

参考レート

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