サウジアラビアを公式訪問中のアロヨ大統領、現地のOFW(海外比人労働者)から彼らの抱える問題について話を聞く
2006年5月8日、アロヨ大統領は公式訪問中のサウジアラビアで、アブドゥラ国王と会見し、イスラム教への敬意を示すとともに、経済かつ平和のパートナーという両国の新たな関係の構築について意見を交わした。会見の詳細は公表されていないが、ブンニェ報道長官によると、アロヨ大統領は(1)フィリピン国内のエネルギー供給の確保、(2)OFW(海外フィリピン人労働者)の生活保護、(3)イスラム教とキリスト教の協調による平和の実現の可能性――について意見を述べたとされる。さらに同長官は、サウジアラビアで働くOFWの現状を知るため、大統領自ら現地のフィリピン人コミュニティのリーダーと対話し、また、大使館関係者らが現地で罪を犯したとして拘留されているOFW141人のケースについて調査を行っていることを明らかにした。
現在、サウジアラビアで働くフィリピン人は、92万9000人。そのうちの約8割が女性で、メイドや看護師、裁縫の仕事に従事している。一方、男性は工場や建設現場などで働くのがほとんどである。フィリピン政府は積極的に労働者を海外に送り出す政策をとっており、サウジアラビアで働くフィリピン人数も増加傾向にあるが、同時に、低賃金や虐待など、OFWが現地で直面する様々な問題が浮上している。
同長官によれば、現地のフィリピン人コミュニティのリーダーは、虚偽の雇用期間を示したり、未成年者を派遣しているマニラの職業斡旋業者の存在や、雇用主からの不当な扱いについて、アロヨ大統領に説明するとともに、こうしたOFWの窮状に対するフィリピン政府の対応の遅さに対して不満を示した。雇用主からの不当な扱いの具体例として、賃金の未払いや支払いの遅れ、雇用主がパスポートを返さない、肉体的・性的虐待、過重労働などが挙げられた。
これらを受けて大統領は、OFWたちに対し、「我々は現地での待遇について、公正と適法な手続きがとられるように戦うべきである。しかし、我々が自国内の外国人に対して要求するのと同じように、自分たちも現在働いている国の法律に絶対的に服従しなければならない」と述べた。
OFW数の増加とともに、かれらが現地で直面する様々な問題も増加しているフィリピン。ただ労働者を送り出すだけでなく、今後は、OFWの受入国との関係も考慮しながら、こうした問題にどう対処していくかが注目される。
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