労働者の移動の自由化により中東欧労働者の流入が2万3000~3万3000人増加

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年4月

オランダは、2004年5月1日にEUに新規加盟したエストニア、ハンガリー、リトアニア、ラトヴィア、ポーランド、スロヴェニア、スロヴァキア、チェコ(マルタ、キプロスの労働者には自由移動権を付与)に対して労働者の自由移動に関する制限的移行措置を課している。これら諸国の労働者は、有効な労働許可を取得している場合に限り、オランダで就労することができる。オランダ政府は、移行措置を延長するか、または完全な労働者の自由移動を認めるかを、2006年4月30日までに決定しなければならない。

新規加盟国の労働者に自由移動を認めると、どのくらいの移住者がオランダにやってくるのか。ECORYS経済研究所の調査は、労働者の自由移動を認めると、初年度に、EU新規加盟国から5万3000~6万3000人の移住労働者がオランダに来ると予測する。これは、2005年に労働許可を取得してオランダで働いた移住労働者の数より2万3000~3万3000人多い。その約90%がポーランドから来る労働者と予想される。研究者は、中東欧諸国からの5万3000~6万3000人の移住労働者(通常は短期の仕事に従事)が、2万3500~2万8000人の正規労働者と同量の仕事(オランダの労働時間数の約0.5%)をこなすと予測する。

研究者は、移住者数の予測は不確実であり、実際の移住者数は、経済発展や他のEU諸国の決定などの要素に左右されるとしている。ECORYS経済研究所は、最も多い移住者のグループは平均年間3.5カ月オランダで働く季節労働者やその他の越境労働者であると予想する。彼らは、一般的に、オランダで社会保険料や所得税をきちんと納め、社会保障制度を限定的に利用する、よい教育を受けた意欲ある若年労働者であるという。また、少数のグループは、オランダで長期間の仕事を見つけ、長く滞在する。同研究所は、今後5年間に、EU新規加盟国からオランダに来る長期移住者の数を4万~6万人と予測する。

ECORYS経済研究所は、新しい競争により、将来どれくらいのオランダ人労働者が失職したり、就職に失敗するかを予測することは困難であるとしている。しかし、最初の5年間に、いくらかのオランダ人労働者、特に技能労働者が労働市場から追い出される事態が起こり得るという。同研究所は、EU新規加盟国の労働者が、オランダ人労働者の希望しない空席ポストを満たすことに、ある程度貢献すると予測する。

移行措置は、2009年4月30日までの3年間のみ延長でき、その後に最終2年間の移行期間が続く。EU諸国が労働者の自由移動の実施を選択し、その決定より国内労働市場に深刻な混乱が生じた場合、加盟国は欧州委員会の許可を得て、決定を完全にまたは部分的に転換することができる。すべてのEU加盟国は、少なくとも2011年5月1日までに、労働者の自由移動を実現しなければならない。もしオランダが自由移動を実施する場合、オランダにおいては、オランダ人労働者とポーランド人労働者を同等に扱わなければならない。

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