台湾における長時間労働の実態
―民間人材仲介企業の調査結果より
労働時間
1111人材銀行とWinner Magazineが2005年11月22日から12月5日の間に実施した調査によると、台湾は週休2日制をとっているが、労働時間は、年間2282時間、1日9.63時間も働くワーカホリックの国であることがわかった。また、84%の労働者が長時間労働のため健康と生活の質に悪影響が及ぼされていると主張している。合計1654人から回答を得ているこの調査では、面接を受けた者の内41%が、仕事量の多さが今後健康に影響を及ぼすのではないかと心配し、44%の者が労働時間が長いために仕事を変えたがっている。毎日の労働時間が8時間未満の者はわずか21%。
生活の質に関する懸念についての項目は、回答者の24%が仕事量が多く生活の質に影響を与えることを心配し、19%が時間外労働のために家族と過ごす時間がないことを心配している。さらに7%の回答者は最も心配なのは時間外労働が恋人との関係に影響を及ぼすかもしれないことだと述べている。また、6%は仕事が忙しいため子供の教育に関わる時間がとれないことを最も心配していた。44%は時間外労働が原因で仕事を変えることさえ考えていると語った。
1日8時間の労働時間内に割当てられた仕事を完了することができないと回答した80%の労働者はその理由について、26%が勤め先の会社のスタッフ不足だと語り、さらに26%がいつも複数のなすべきことがあり、何から手をつけてよいかわからないことも多いと主張した。
この同じ問題について、回答者の18%が同僚の協力が不十分であるために割当てられた仕事を完了できない、13%が上司があまりにも批判的で要求が多く、そのため時間外労働を強いられ、法律上取得権利のある休暇をとることもできないと不平を述べている。
現行労働基準法第30条に従えば、労働者の正規の労働時間は1日8時間、2週間で84時間を超えてはならない。労働組合または労働組合がない場合労使会議の同意を得ている場合、雇用者は前段落で言及した平日2日の正規労働時間を2週間以内の他の平日にシフトすることができる。ただし、シフトしたことによってその日の労働時間が2時間を超えて増えてはならず、この割り振りの結果1週間の労働時間が48時間を超えてはならない。また、労働組合または労働組合がない場合労使会議の同意を得ている場合、雇用者は正規労働時間を8週間に割り振ることができる。ただし、その場合でも1日8時間を超えてはならず、1週間の労働時間が48時間を超えてはならない。さらに、現行労働基準法第32条によると、就労の必要がある場合、雇用者は労働組合または労働組合がない場合労使会議の同意を得た後、第30条に定める労働時間を延長することができる。1人の労働者について、延長労働時間と正規労働時間を足した労働時間合計は1日12時間を超えてはならず、延長労働時間の合計は月46時間を超えてはならない。
上記のとおり労働基準法での規定に関わらず、今回の調査結果にみると、大半の台湾人の1日の平均労働時間は1日の正規労働時間8時間を超える9.63時間であり、年間平均労働時間は2週間の正規労働時間84時間を超える2282時間であることがわかった。雇い主は現行労働基準法に明らかに違反しているといえる。
2006年2月 台湾の記事一覧
- 外国人労働者受入管理に対する内外の反響
- 台湾における長時間労働の実態 ―民間人材仲介企業の調査結果より
関連情報
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:掲載年月からさがす > 2006年 > 2月
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:国別にさがす > 台湾の記事一覧
- 海外労働情報 > 国別労働トピック:カテゴリー別にさがす > 労働条件・就業環境
- 海外労働情報 > 国別基礎情報 > その他の国 > 台湾
- 海外労働情報 > 諸外国に関する報告書:国別にさがす > 台湾
- 海外労働情報 > 海外リンク:国別にさがす > 台湾