2005年の団体交渉による賃金の上昇率、1984年以来の低水準(0.8%)を記録
オランダ統計局の発表によると、2005年の団体交渉による賃金の上昇率は、1984年以来の低水準となる0.8%(2004年は1.3%)であった。主な稼ぎ手が65歳以上の家計は、より若い世代が主な稼ぎ手の家計よりも収入が少ないが、その格差は縮まってきている。
2005年の団体交渉による賃金の上昇率
2005年の団体交渉で合意された賃金(注1)の上昇率(0.8%)は、1996年以来となるインフレ率(1.7%)を下回る水準であった。低下傾向は2002年に始まり、2005年4月に最低の0.5%となった後、年度後半に反転し、第4四半期は1.1%の上昇を記録した。1997~2004年の間の団体交渉で合意された平均賃金上昇率は、インフレ率を0.6%上回った。
民間部門および公的助成を受けている部門(注2)の賃金上昇率は0.8%、公務部門の賃金上昇率は、2004年と同様、最低の水準(0.4%)であった。
2005年の契約賃金費用(注3)の上昇率は、2004年の半分の1.3%となる見込みである。契約賃金と団体交渉で合意された賃金上昇率の差は、使用者の社会費用への拠出が増加していることを示している。この差は2004年には比較的大きかったが、主に障害保険の使用者拠出分の削減により、2005年には0.5%に低下し、2002年および2003年と同水準となった。
2005年に契約賃金費用が最も顕著に上昇(1.7%)したのは公務部門であった。契約賃金費用の上昇が最も小さく、団体交渉で合意された賃金と契約賃金費用の差(0.3%)が最も小さかったのは民間部門であり、格差が最も大きかったのは公務部門であった。2005年の公務部門の契約賃金費用の増加は、この部門の団体交渉で合意された賃金を1.3%上昇させた。これは、主に使用者の年金制度への拠出の増加による。
高齢者家計の所得
高齢者家計の可処分所得は、より若い世代の家計のそれよりも低い。2004年には、主な稼ぎ手が65歳以上の家計は、平均で2万3000ユーロを若干上回る所得があった。これは、主な稼ぎ手が65歳未満の家計所得よりも23%近く低い。
インフレ調整後の高齢世帯の2004年の所得水準は、2000年より4%近く上昇した。主要な稼ぎ手がより若い世帯の所得は、増加がより小さいかまたは減少した。このため格差は幾分縮小傾向にある。
主な稼ぎ手が高齢者の世帯には、単身者や子供のいない家計が多く、家計比較を行うためにはこのような差異を調整する必要がある。それは、家計の実質的な富裕を示す標準所得(注4)によって表される。主な稼ぎ手が65歳以上の家計の2004年の標準所得は、主な稼ぎ手がより若い世代の家計のそれよりも6%低かった(2000年の格差は8%)。
主な稼ぎ手が65歳以上の家計のうち、高齢の単身女性の所得水準は、高齢の単身男性や子供のいない夫婦よりも13~14%低い。65歳未満の単身女性の所得水準は、働き始めたばかりの若い独身女性が多いため、さらに低い。
注
- 特別手当を含む団体交渉で合意された時間当たり賃金。2005年の結果は、団体協約全体の80%の結果に基づく。
- 私法に基づき運営され、法律に基づく補助金または財政支援を受けている、公務部門に属さない団体。例えば、医療、福祉、社会保険管理団体など。
- 法律で使用者に支払いが義務づけられている保険料、年金および早期退職制度、障害保険、社会基金への使用者拠出分などを含む。
- 家計の人数や構成を調整した後の可処分所得。
出所
参考レート
- 1ユーロ=141.30円(※みずほ銀行
ホームページ2006年2月8日現在)
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