欧州委員会、合法移民に関する政策計画を発表

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2006年2月

欧州委員会は2005年12月21日、自由、安全、正義の分野における実現目標を定めたハーグ・プログラムの要請に基づき、「合法移民に関する政策計画」を発表した。同計画は、EUの合法移民に関する政策の発展を促進するために、ハーグ・プログラムの残りの期間(2006~2009年)のロード・マップを明確に定め、欧州委員会が実施すべき行動や法律提案を列挙している。

政策計画は、主に経済移民に焦点を当て、明確で包括的な政策の概観を示すことを目的としている。計画は、EUの合法移民に関する共通政策の発展のために重要な――(1)雇用目的の第3国国民の入国および滞在の条件を規制する法律(2)移民に関する知識の構築、情報の共有を促進するための行動と政策(3)受入れ国労働市場における経済移民とその家族を支援する政策と資金(4)送り出し国の協力と支援を必要とする国際的な移民の流入管理の改善に向けた政策――の4つの行動分野を以下のように示している。

  • 欧州委員会は、雇用目的の第3国国民の入国と居住の条件に関する一連の法律案を積極的に提案する。これらの提案は、(その他の水平的施策とともに)EUで認められたすべての移民労働者の基本的権利を定義する一般枠組み指令や特定の分野の移民(高技能および季節労働者、企業内転勤・報酬を伴う訓練生)の入国と居住の条件を規定する4つの特別指令のからなる。受け入れる移民労働者の数を決定する権限は加盟国に残る。
  • 欧州委員会は、移民に関する有用な情報のアクセス・交換・調整を十分に改善するために、法律に基づかない数多くの施策を開発する。これらの施策は、EU移民ポータルの開設や欧州職業移動ポータル(EURES)および欧州移民ネットワークの改善を含む。
  • 経済移民の統合に関し、欧州委員会は、新たな経済移民のための情報パッケージや語学・市民オリエンテーションコースの開発を特に強調している。
  • すべての利害関係者の利益を考慮して移民の流入を効果的に管理するために、欧州委員会は移民の送り出し国との協力を強化するいくつかの方策を提案している。これらの方策は、頭脳流出の悪影響を制限するための監視およびその他の可能な行動、帰還および循環移民の奨励、地域機関やNGOなどの責任に基づく送り出し国における職業訓練や語学コースの設置――などである。

これらの包括的施策のパッケージに基づき、欧州委員会は、明瞭でバランスのとれた移民問題へのアプローチの必要性および国際社会や第3国との関係において信頼され得る透明で強固なEU移民政策の策定を強調している。欧州委員会は、2006年4月に、合法移民の分野における将来の優先事項に関する報告書の発表を予定している。

出所

2006年2月 EUの記事一覧

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