OECD雇用戦略東京フォーラム開催される

カテゴリー:雇用・失業問題

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  • 国別労働トピック:2006年12月

OECD(経済協力開発機構)と日本の厚生労働省は、10月30日、31日の両日「新雇用戦略東京フォーラム」を開催した。このフォーラムでは、アジア太平洋地域を中心としたOECD加盟国7カ国、OECD非加盟国8カ国の政策担当者が一同に会し、6月に発表された新雇用戦略とその実施にむけた各国の取組み、課題について議論が展開された。

OECDでは、1994年に、OECD加盟国の長期的な問題とされてきた高失業率に対処するため、「OECD雇用戦略」を策定したが、10年を経過してグローバル化、高齢化の進展など環境変化を踏まえて新たな課題が確認されるようになったことから、見直し作業が行われてきた。OECD新雇用戦略は、労働市場への参加の促進を目的とすること、特定層の低所得の問題を重視という特徴がある。(1)マクロ経済施策の設定、(2)労働市場への参加や求職活動の障害の除去、(3)労働市場や製品市場での労働需要の障害への対処、(4)労働力としての技能、能力の開発促進の4つを柱として構成される。

新雇用戦略を実現するため、日本の意見としては、高齢者や女性の労働市場への参加の促進、人材育成に関連する施策の現状をふまえ適切な就職支援、能力開発機械が提供されること、雇用の量と質の両方を高めることの重要性が強調された。

今回のフォーラムは、各国代表とも活発な議論を展開しているが、最終日の議長総括の内容では、高齢者化社会をむかえ労働市場への参加促進、そのための効果的なサービスの役割の重要性が確認されたほか、ワークライフバランスの確保が重要であることが確認され、さらに、労働需要を高めながら就労を促進するためには能力開発による雇用の質の確保が重要であることなども確認された。

また、新雇用戦略の実施のためには、労使をはじめとする関係者との広く充分な議論がおこなわれることや政策分野の包括的パッケージとして行うことが必要であることも確認されている。

OECD非加盟国にとって新雇用戦略は、インフォーマル雇用や社会的保護制度の問題など個々の国の事情により重点は異なるものの、参考になるものであるという共通認識を得た。

さらに、雇用の量的拡大と質的向上の実現のためには、OECDとILO(国際労働機関)の連携による支援が有効であることも強調された。

出所資料

  • 平成18年11月1日、「『OECD新雇用戦略東京フォーラム』 の開催について」、厚生労働省

参考

  • 2006年版「雇用アウトルック」
    2006年6月13日、経済協力開発機構(OECD)は、2006年版「雇用アウトルック」を発表した。
    「雇用アウトルック」は、加盟各国の毎年の労働市場動向を定点的に観測し、分析するとともに、その年の主要課題の分析を行う。
    OECDは、失業率の向上と労働市場の活性化をねらい、1994年に「雇用戦略」を打ち立て、加盟各国を対象に推進してきた。3年間に及ぶ見直し作業を経て、今年からは、「新戦略」に取り組んでいる。「新戦略」は、雇用を促進し、労働者が高収入を得るための諸政策として、税政策、雇用関係法制、福利厚生、製品市場競争、マクロ経済政策に関する具体的取組を提言し、奨励する。2006年版の「雇用アウトルック」では、「新戦略」に基づき、今後10年の間に高齢化とグローバル化の進展が経済成長に及ぼす悪影響を解決するため、加盟各国は何をすればよいのかを議論し、提言している。
    具体的には、旧雇用戦略での政策提言に加え、(1)失業者が積極的に就職したいと思うよう促すための「活性化と相互義務」アプローチの構築、(2)女性や高齢者の労働参加を阻害する要因の除去、(3)雇用保障の課題とフレキシビリティについての検討、(4)不熟練労働者の労働需要の拡大の可能性(サービス産業における新たな就業機会の創造)、(5)良い就業機会を得るために生涯学習が果たす効果、(6)マクロ経済政策の役割、(7)より良い労働市場モデルの構築ーーについて議論を展開している。

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