増え続ける海外比人労働者(OFW)
―前年同期比で5.2%増
労働雇用省(DOLE)は2006年10月16日、海外で就業するフィリピン人(OFW)の数が前年同期比で5.2%増加したと発表した。海外雇用庁(POEA)のデータによれば、2006年1月から10月までのOFW数は、84万4034人。前年同期は80万2478人で、およそ5.2%(4万1556人)の増加となった。陸上勤務者は61万3178人で、前年同期から3万1989人の増加、海上勤務者は19万8867人で同じく9567人の増加となっている。
ブリオン労働雇用省長官は、OFW数は送金額の増大を伴い、陸上・海上ともに世界規模で増大しているとし、中央銀行(BSP)が発表した(10月13日)OFWからの送金額についても言及。2006年1月から8月までのOFWからの送金額は80億9800万ドルで、前年同期比15.3%増であった。BSPでは、2006年の送金額は118億7000万ドルに達すると予想している。ちなみに、主な送金元は米国、サウジアラビア、イタリア、英国、日本、香港、アラブ首長国連邦、カナダ、シンガポールなどとなっている。
中央銀行は、単に雇用数だけでなく、OFWの中でもより賃金の高い職に就く者が増加しているとし、送金額の増加傾向はこのまま続くと予測。2007年には9.4%増加し、130億米ドルに達すると予想している。
DOLEも、2006年のOFW数の目標を100万人とし、世界規模での増大に大きな期待を寄せている。こうしたOFWの72%は女性。同長官は、この背景には海外におけるフィリピン人看護師の需要の多さがあると説明し、看護師や介護士、理学療法士などの海外就業がさらに拡大する可能性が高いことを示唆した。
こうしたなか国際通貨基金(IMF)が2006年9月に発表したアジア経済見通し(Asia and Pacific Regional Economic Outlook 2006)では、海外の出稼ぎ労働者からの送金は、就業先の経済状況に左右されやすく、その経済効果を過大に評価にすることは危険であるとの見解が示された。IMFによると、2004年のフィリピンのOFW送金額のGDPに占める割合は9.8%。ネパールの13.4%に次いで高い(スリランカ7.9%、バングラデシュ6.1%、パキスタン4.8%、インド2.9%、タイ1.1%、中国0.3%)。
ブリオン氏は、就任時(2006年7月)に発表した行動計画に、「DOLEは海外における雇用機会創出に専念する」ことを盛り込むなど、OFW数の増加に積極的な姿勢をみせている。しかし、政府内からは「海外へ職を求めざるを得ない根本原因となっている貧困対策として、政府はまず人口増加の抑制に力を注ぐべき。海外に労働者を派遣することは決して健全な政策とは言えない」とする意見も出ている。
参考レート
- 1米ドル(USD) =118.02円(※みずほ銀行ウェブサイト2006年11月6日現在)
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