中等教育未修了者を対象とする再教育制度を発表
2006年10月、政府は技能労働者不足解消に向けた新たな政策「将来のための技能(Skills for the Future)」を発表した。施策は労働者の継続的な能力開発や再教育に重点を置いており、中等教育(注1)をドロップアウトした成人を対象とする学費補助プログラム、労働者の職場実習(OJT)支援や技術系大学への補助金などのプログラムが盛り込まれている。
2007年1月から開始予定の学費補助プログラムは、中等教育をドロップアウトした成人(25歳以上)向けに、中等教育修了に相当する資格を取るための学費として1人当たり最高3000豪ドルの学費が支給される。参加者は公立の高等職業教育訓練機関(Technical And Further Education:TAFE)などの教育機関で、ホスピタリティー、チャイルドケア、自動車修理などの分野の資格を取得することができる。同プログラムに対する予算として総額8億3700万豪ドルが計上されている。
ハワード首相は「従来、教育・職業訓練機関は新卒の支援に主に力を入れてきた。しかし25~64歳の国民の中には高校を卒業していない人も多く、こうした人々は就職に不可欠となる基本的な識字能力や計算能力さえ持っていない場合がある」と述べ、現行の労働力を活用した「将来のための技能」施策の有効性を主張した。(注2)
TAFEの概要
訓練を提供する場となるTAFEは、豪州の職業教育訓練機関において中心的な役割を果たす機関である。大学が専門分野を学術的に学ぶ場であるのに対し、TAFEは実社会のニーズに直結した実践的な専門教育の場となっており、全国で統一システムの下でカリキュラムが組まれ、その質が厳しく管理されている。
TAFEで学べる分野は、ツーリズム、航空、ビジネス、コンピューター、社会福祉、看護、アート、デザイン、園芸など多岐にわたる。特定の技術習得を目指すCertificate(I~IV)や学士号に次ぐ資格として通用するDiploma、 Advanced Diplomaなどの各資格を取得するためのコースがある。各資格は段階的に修了することができ、上位の資格を習得するまで就学を継続することも可能である。
注
- 豪州の教育制度:一般に初等教育(小学校)が6年間または7年間、中等教育(中学高校一貫教育)が6年間または5年間である。州による差異があるものの、両課程を通算すれば12年間となり、12年生は日本の高校3年に相当する(出所:国際交流基金)。
- Prime Minister of Australia
出所
- NNA
参考レート
- 1豪ドル(AUD) =90.90円(2006年11月6日現在 みずほ銀行ウェブサイト
)
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