外国人労働者課徴金の引き上げ

カテゴリー:外国人労働者非正規雇用

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  • 国別労働トピック:2005年9月

7月30日付、ニュー・ストレイツ・タイムス紙によると、マレーシア移民局は外国人労働者への依存度を軽減し、国民の雇用を促進するため、1)外国人労働者雇用の際に使用者が負担する課徴金を製造業・建設業を除く全産業において8月1日より引き上げる、2)外国人労働者の派遣事業者への規制強化――を発表した。

外国人労働者課徴金の引き上げ

マレーシアでは従来、外国人労働者の雇用規制のため、外国人労働者を雇用する使用者に対し、産業により幅はあるが、360~1200リンギの課徴金が課せられていた。マレーシア政府は、外国人労働者の急増に懸念を示しており、去る7月5日には、ナジブ副首相が課徴金引き上げの閣議決定を発表していた。8月1日に発効した課徴金のうち、サービス業、プランテーション、レストラン・衣料アウトレットについては、下記表の通り。

新・外国人労働者への課徴金(リンギ) 半島部 サバ・サワラク州
サービス業 1800 1440
プランテーション 540 360
レストラン・衣料アウトレット 1800 1400

今回の引き上げは、外国人労働者への依存度を軽減し、マレーシア国民の雇用を促進することを目的としている。マレーシアには合法的に就労している外国人労働者は160万人いるとされ、中小企業と小規模経営の伝統的農業の分野における人手不足が指摘されている。この件に関しナジブ副首相は、これらの仕事はマレーシア国民が従事すべきであるとし、安価な労働力が期待できるからという理由で、安易に外国人労働者を雇うべきではないと述べた。一方、MTUC(マレーシア労働組合会議)は、課徴金の引き上げは、外国人労働者の流入阻止あるいは削減に効果が無く、むしろ外国人労働者により重い負担を課すことになると指摘する。従来、課徴金は全額労働者の賃金から差し引かれていたが、2005 年1月、マレーシア政府は課徴金の使用者側負担割合を最大で課徴金の3割とするとの方針を打ち出した。しかし、MTUCの調査によると、使用者の多くは課徴金の全額を労働者の賃金から差し引いているという。MTUC事務局長は「われわれは全産業について、外国人労働者を含むすべての労働者に適用可能な最低賃金を導入するよう要求している。MTUCは移民局が29日に発表した新しい課徴金の基準について、2週間以内にナジブ副首相宛に意見書を提出する」と述べた。また同事務局長は、人的資源大臣に対し、移民局が外国人労働者のニーズを随時把握できるよう、労働許可発行件数(manpower

派遣事業者への規制強化

派遣事業者は、外国人労働者を「季節労働者」として短期で雇い、プランテーションや工場や中小企業などに派遣している。今回の規制強化で派遣事業者は、労働者一人当たり保証金を政府に対して支払い、当座の職が用意できない場合は、住宅と最低賃金を提供しなければならないと定められた。ただし、現時点で保証額と最低賃金額は未定である。これにより、派遣事業者の労働者に対する責任を明確化し、外国人労働者が過剰に確保されることを防ぐ効果を期待するとナジブ副首相は述べた。

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