教師のストライキで公立5校が休校に

カテゴリー:労使関係

フィリピンの記事一覧

  • 国別労働トピック:2005年8月

マニラタイムズによれば、マニラ市の教師達が一斉休暇をとり、市内の公立校72校のうち、5校が休校に追い込まれた。

同市の学校担当局の発表では、2005年7月8日には、同市の公立学校の5094人の教師のうち、およそ3割にあたる1538人が、マニラ市公立学校教師協会(MPSTA)による一斉休暇に参加. 同グループの要求は、 3000ペソの賃上げと教育予算の増加である。

こうした行動に対し、教育省は、教師達に「今回の一斉休暇は、公務員規則の下では、ストライキにあたる」と警告。教育担当官は、今回の一斉休暇に参加した教師達には、何らかの処罰が与えられることになるという見解を示した。

教師連盟(ACT)の会長は、フィリピンの教育危機の悪化を指摘。その原因は、教育や公共サービスの向上には力をいれず、債務返済にのみ力を注いできたこれまでの政府の方針にあるとしている。

フィリピンでは、人口増加に伴い、生徒数が増加しているにもかかわらず、財政難から、「教師の不足」「教科書の不足」「教室の不足」――という、問題を抱えている。特に、教師については、その賃金の安さから、希望者は減少。国内で教師として働くよりも、海外で、看護師や家政婦、その他の高賃金な職に就くことを望む人が増えている。

こうした状況は、フィリピンの教育水準の低下――子供たちの基礎学力及び英語能力の低下、そして教師の質の低下等――を引き起こしている。この状況を打開するには、まずは国全体の経済状況の改善が必要となる。経済状況の改善を図りつつ、教育水準の向上も目指すという困難な課題に、政府はどう対処していくのか注目される。

関連情報