労働者総同盟(UGT)大会で、メンデス氏が書記長に再選

カテゴリー:労使関係

スペインの記事一覧

  • 国別労働トピック:2005年7月

2005年6月3日・4日、マドリッドで第39回労働者総同盟(UGT)大会が行なわれ、カンディド・メンデス書記長が再選された。今回の大会で選出された新執行部には、労働市場改革、年金制度改革、及び新たな介護制度導入をめぐる政府・雇用者団体との交渉が早速待ち構えている。

メンデス氏は、1970年より社会労働党(PSOE)党員、UGT組合員で、79年の総選挙では、アンダルシア州ハエン県選挙区のPSOE候補者名簿に名を連ねた。選挙では選出されなかったものの、翌80年に下院PSOE会派で生じた欠員を補う形で議席を得ている。

1994年4月に行われた第36回UGT大会で、引退したレドンド書記長の後を受け、初めて書記長に選出された。その直後には、UGTが推進する住宅建設推進事業(PSV)の財政破綻というきわめて深刻な問題に直面。また当時は、UGT内にも主流派に対する批判派が存在し、95年に行われた特別大会では、代議員431人の票をもってメンデス氏が再選されたものの、批判派のフェルナンデス候補も369票を集めた。しかし、こうした組合内部の分裂も、98年の第37回大会が、メンデス体制による労組運営を承認したことで克服。その後、2002年の第38回大会でも、同氏は書記長に再選され、現在に至っている(注1)。

メンデス書記長は就任演説の中で、年金問題に関し「政権が、(保守系の)国民党(PP)政権から社会労働党(PSOE)政権に交代しようと、年金問題に関するUGTの姿勢は一貫して同じである。唯一の違いは、社会主義的な方向の政権であるならば、未だに不十分な点が多い公的年金制度の改善を目指すという点であろう」と述べた。これは、大会1日目に、サパテロ首相が、自身の演説の中で、「年金制度改革における労組の協力」を求めたことに対する答えとも受け取れる。

同書記長は、記者団に対し、UGTとPSOE(スペイン社会労働党)の間が「トランスミッションベルト」でつながれていた時代は、すでに過去のものとして葬り去られたと述べ、労組の独立性を主張した。また、近年の工業拠点の国外流出への懸念を表明。政府に対し、工業政策の強化を求めた(注2)。さらに、フランスとオランダで行われたEU憲法条約批准についての国民投票で、立て続けに「ノー」の結果が出たことにも触れた。この結果が、「(今後の欧州にとって)深刻な障害となる」としながらも、労組として欧州の完全雇用達成を目指した、いわゆるリスボン・プロセスへのコミットメントを改めて強調した。

関連情報