欧州ジェンダー平等研究所の創設

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2005年3月、ヴラジミール・シュビドラ雇用・社会問題・機会均等担当委員は、EU機関と加盟国が、男女平等を促進し、性差別と闘うことを支援するため、欧州ジェンダー平等研究所(European Institute for Gender Equality)を新たに創設すると発表した。研究所は、データを収集・分析し、信頼できる比較可能なデータを提供する欧州レベルの独立したセンターとなる。

この問題は、2000年12月にニースで開催された欧州理事会(EU首脳会議)で、男女平等を促進するための啓蒙活動、データ蓄積、経験交流を目的とした欧州ジェンダー平等研究所を創設することを盛り込んだ社会政策アジェンダが採択されたことにさかのぼる。

欧州委員会は、男女平等は欧州連合条約に記された基本的な権利であり、13の指令や多数の判例によって保証されている、と指摘している。また、差別との闘い、ジェンダー平等の促進は重要な政策目標であり、男女の均等待遇に関するEUの法制、政策は、とりわけ雇用の分野における差別を減少させたと主張する。

しかし、欧州委員会が2004年2月に発表した報告書は、男女平等の進展状況は遅々としており、さらなる努力が不可欠であるとしている。さらに男女の賃金格差は多くの加盟国において拡大する傾向を示している。女性は欧州人口の52%を占めており、その貢献がリスボン戦略に掲げる経済社会目標の達成にきわめて重要となっている。

欧州委員会は、欧州ジェンダー平等研究所は、EUの他の機関と共同しつつ、1)ジェンダー平等に関する関連事項及び比較可能情報の収集、記録、分析、普及、2)欧州レベルでのデータの比較可能性、客観性、信頼性を向上させる方法の開発、3)ジェンダー平等に関する欧州の実態調査、4)研究成果の発表、研究活動を支援する専門家会合の開催、関係するステークホルダーと共同で会議、キャンペーン、セミナーなどを組織、5)誰もがアクセスできる情報源の整備――などの活動を実施すべきであると提案している。

研究所は、欧州議会及び欧州連合理事会で設立に関する決議が採択された12カ月後に事業を開始するとされており、2007年の活動開始が望まれている(研究所の設置場所は未確定)。欧州委員会の提案では、2007年~2013年の予算規模は5250万ユーロとなっている。

参考

  • 欧州労使関係観測所オンライン

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