石油価格引き上げにより、南部の漁民の大規模スト
世界的な原油価格の上昇を受け、タイ政府は従来行ってきた石油の価格維持政策の変更を検討しているが、漁業関係者などを中心に、生活に直結しているディーゼル石油価格の値上げは、家計に大きな影響を与え始めている。2005年4月5日には、全国の漁民達が政府のディーゼル価格維持廃止に反対する抗議活動を行い、各所の港を封鎖した。抗議活動が行われたのはチュンポン、プラチュアップキリカン、ソンクラー、ナコンシタマラート、ラノン、トラン、ラヨン県など広範囲に及ぶ。
政府のディーゼル価格政策に不満
現在タイの漁民は、政府からの助成金によって価格が低く抑えられている通称「グリーン燃料」を1リットル13.8~14バーツで購入することが出来る。しかし、政府は価格を変更し、16.19バーツで販売することを決定しており、全国の漁民がこれに強い反対の意向を示している。
タイ漁業組合では、このディーゼル価格の指示に関して農業・農業協同組合省とエネルギー省とすでに5回にわたる交渉を行ったが、両者の合意には至らなかったという。同協会のプラサン会長は、政府の水産業への感心の低さを批判し、今後の支援を強く要請しており、漁業支援のための基金の設立なども提案している。
同組合ではディーゼル価格を以前の水準である1リットルあたり13.7バーツで販売することを要求しているが、ネウィン副農相は、小型漁船向けの「パープル燃料」を11県(チャンタブリ、チュンポン、クラビ、パッタニ、ペチャブリ、パンガー、プーケット、プラチャップキリカン、ラノン、サトゥーン、トラート)において14.19バーツで販売し、小規模農民を保護することを提案するにとどまり、両者の後者は平行線をたどっていた。
4月5日の政府の閣議決定が行われたが、漁民の要求する価格が受け入れなかったとして、チュンポン、プラチュアップキリカン、ソンクラー、ナコンシタマラート、ラノン、トラン、ラヨンの各県の漁民が各県約500隻の漁船で河口を封鎖し、抗議活動を行った。
抗議活動を行った漁民らは、1)漁獲量が減少している点、2)ディーゼル価格の上昇によって、支出が増加している点、3)南部の観光客の減少によって土産物としての水産加工物の売り上げが減少している点を挙げ、家計所得が少なくなっていることに強い不満を持っていることを明らかにしている。
参考
- BP4月2日、週刊タイ経済、2005年4月11月号
参考レート
- 1タイバーツ=2.69円(※みずほ銀行ウェブサイト
2005年4月28日現在)
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