「高齢化と雇用に関する報告」発表される
経済協力開発機構(OECD)は、10月10日、「高齢化と雇用に関する報告ー高齢化時代には高齢者の就労促進が重要」を発表した。
この報告書は、10月17日、18日にブラッセルで開催された「高齢化と雇用に関するハイレベルフォーラム」において提出されたもので、高齢化時代の到来を前に人的資源としての高齢者の活躍を期待している。
OECD加盟諸国においては、現在、50歳から64歳の人口のうち60%が就業しているにもかかわらず、多くの公共政策や職場慣行は高齢者が仕事をするためのサポートに配慮がない。OECDの分析によると、このままの状態で推移すると次期10年間に退職高齢者の割合は2倍となり、さらに2000年に38%のところが2050年には70%にまで達することとなる。(図1参照)このことは、経済成長を見込むことの出来ない現状では、各政府にとっては、財政への負担をもたらし、高齢個人にとっては高い税負担と低い福祉をもたらすことになり、生活水準の低下の原因ともなると同報告書は指摘する。現状が変わらないという前提で試算するとOECD加盟国における次期30年間のGDP年間成長率は1.7%に縮小し、1970年から2000年の3年間の平均年間割合を30%以下に下回ることになるとも指摘している。
このような事態を回避するため、OECDは高齢者に優しい雇用政策を提言し、高齢者が働きやすい職場について議論し、提言する。
現在でも、ヨーロッパ諸国においては多くの退職者が定年退職を待たずに退職している現実がある。(図2参照)各国は年金改革を断行する必要に迫られている。
すなわち、OECDは下記の3つの重点について提言を行っている。
- 政府は、高齢者がやる気をなくすことがないよう、むしろ積極的に働けるように支援するため、年金やその他の福利を保障すべきである。
- 使用者は、差別することなく、さまざまな年齢の労働力を活用する労働慣行を準備すべきである。
- 高齢者自身もさらに長い期間にわたり働き、新たな技能を身につけるのだという意識と態度を持つことが期待される。現状では、確かに若者と高齢者では職業訓練のあり方に大きなギャップが存在し,いくつかの国においては特にギャップが大きいことが調査の結果から明らかになっている。(図3参照)
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