新たに100万人規模の外国人労働者を登録予定

カテゴリー:外国人労働者

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  • 国別労働トピック:2004年8月

7月1日から開始される外国人労働者登録に先立ち、管轄の内務省が発表したところによると、今回の登録によって、120万人以上の外国人労働者が登録する見込みであることが明らかとなった。

タイの外国人労働者

タイにおいては、1980年代後半から近隣のミャンマーやカンボジア、ラオスなどから単純労働者が流入し始め、主に建設業、農業、メイド、サービス産業など、いわゆる3K労働部門に従事している場合が多い。しかし、1997年の経済危機後、タイ人の雇用確保、および治安維持のため、外国人労働者が従事する分野を制限するなど、労働者を登録制にすることにより厳しく取り締まってきた。また2001年のタクシン政権以後は、麻薬の撲滅運動の一環として、麻薬取引に関わることが多いとされる不法就労の外国人労働者を国外追放するなどの処置を取っていた。

2004年の外国人労働者登録においては、登録者にID登録証を携帯させ、労働者をデータベース化することが決定している。労働省の報告によると、2004年からはミャンマー人、ラオス人、カンボジア人労働者の雇用を許可する政策へと転換したため、2003年に登録された約40万人の他に、未登録の不法就労の約80万人が今回の登録に参加するのではないかと見られている。移民者の多い県は、主に他国と接する県、ターク県やチェンライ県、東北部のウドンタニ県などである。

登録後、労働者は常にIDカードを携帯することを義務付けられ、所持していない外国人労働者は強制送還されるという。カードには、労働者の個人情報のほか、13桁のIDナンバー、タイでの住所などが記載される。タイでの雇用期間は原則1年で、1度の更新することで2年まで就労できる。また場合によっては、市民権を得られる場合もあるという。

従来の登録と異なる点

経済危機後の外国人登録制度では、雇用主にも労働者にも高い登録料を課していたが(詳細は海外労働時報2000年10月号を参照)、2004年の登録においては、手数料は無料で行われ、登録後の1年間は安心してタイで居住することができる。また、労働者は登録後の転職も可能である点も、従来の登録制度とは異なっている。

労働団体の声

ミャンマーを拠点とする民主運動活動グループのアディソーン代表は、今回の外国人登録制度を不十分だとしている。なぜなら、従来の非常に厳しい取締り体制の中から、急に登録が許可されたことを信用できずに、登録所に来られない労働者もいることを配慮していない点や、また約200万人いるミャンマー人労働者がすべて登録を完了するためには1ヶ月の登録期間では短すぎるという点を挙げている。

また、登録制度そのものは整ったものではあるが、労働者保護の配慮はなされていないことが問題点であることも、指摘している。

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