政労使合意に失敗
―早期退職優遇制度見直しで

カテゴリー:高齢者雇用労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年8月

オランダ政府は、昨秋以降労使と続けてきた早期退職優遇制度に関する見直しについて、政労使合意が図れなかったため、単独の見直し案を示し、それによる対立が起こっている。政府案に反発している労働組合は、昨秋に政労使で確認した「ゼロレベル」賃上げについて、早期退職優遇制度見直しの合意が図れなかった以上、前提が崩れたと主張。ストライキを含めた抗議行動を計画している。

政労使は昨秋、2004年の「賃上げ凍結」と、05年に賃上げを「ゼロレベルに近づける」計画で合意していたが、労組はその前提として、新たな「早期退職・年金受給計画」とライフコース設計(パートタイム就労などを組み合わせ高齢期の多様なコース選択を可能にする仕組みの提供)について政府、使用者と合意を得ることを条件としていた。

政府は早期退職優遇制度見直しに関して、期限と定めた5月2日までに労使と合意に至らなかったため、独自案を示して同月28日に労使と交渉。使用者側の合意を得たものの、労働側とは物別れに終わった。政府案の骨子は、早期退職の税制上の優遇措置を06年から撤廃するとともに、06~11年については税金の軽減レベルを現行の半分の水準にする移行措置を設けるというもの。将来は65歳が標準的な退職年齢となり、それ以前の退職に対しての優遇措置はなくなる見通しだ。

これに対し組合側は、優遇措置の制限・撤廃に反発。より若い世代が早期退職や職業生活からの離脱の仕組みを利用できず、十分な援助も得られないとしている。最大のナショナルセンターのFNV(オランダ労組連盟)は複数の抗議行動を計画し、10月には全国規模のストライキを予定。一方CNV(全国キリスト教労組連盟)はFNVと協調する姿勢を示しつつ、10月より早い時期の行動を重視している。今後の労働組合の動きによっては、05年の賃上げ交渉が仕切り直しで行われる可能性もある。

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