最低賃金260レアルに決定

カテゴリー:労働法・働くルール労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年7月

政府は、2004年5月1日から向こう1年間の最低賃金を、260レアル(1ドルは約3レアル)に決定すると発表した。20レアル(約720円)の引上げであるが、実質1.21%の調整に過ぎないため、与党である労働党の間からも、任期4年で2倍にする公約を掲げている以上、政治的にはマイナスという批判の声が強い。

2003年も実質1.2%の調整だった。野党側は275レアル案を国会に提出して、国会審議にかけようと試みたが、労働党政府は、法案審議を阻止して、260レアルを維持した。マスコミは、ルーラ大統領やCUTの労働党幹部が、野党時代に政府の最低給料を非難した言葉や、大統領選挙当時、ルーラ大統領が4年の任期中に2倍に引上げると公約したことを引用して、政権を取った後は手のひらを返したように、公約が実行されていないと批判を強めている。

最低賃金は、厚生年金支給の支払い基準となっているうえに、公務員の賃金も一般に最賃に準拠して決定しているために、社会保障院の支出、政府の人件費拡大とも直結しており、財源が拡大しない限り最低賃金引上げには限度がある。そのため政府は、「野党は引上げを要求するなら、その財源を確保して見せるべき」と要求した。これは労働党が野党時代に、高い最賃引上げを要求して、当時の政府が回答したことを、そのまま逆転して労働党が防衛に回った形となっている。

今回の最賃引上げに関しては、労働党と労組から大型引上げ要求が強く、政府は2週間のうちに6回も閣僚会議を開いて、調整率を協議している。しかし、政府財政の立て直しを図るパロッシ蔵相の意見が最終的に採用され、260レアルに決定した模様。政府は2004年度国家予算では最低賃金を256レアルに調整する予算を組んでいた。

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