失業率、1996年以来の高水準に
オランダの雇用情勢が悪化している。オランダ統計局発表の2004年第1四半期(1-3月平均)の失業率は6.6%で、前年同期の5.0%から、1.6ポイントの上昇。90年代中盤の水準に肩を並べつつある。失業者も約50万人と、前年同期比で12万8000人増加している。とくに若年層の失業率が13.8%(前年同期9.9%)とはね上がっているのが特徴だ。
オランダは、石油ショック後の80年代に失業率が上昇し、その後政労使による労働市場改革やパートタイム労働促進の枠組づくりなどで雇用情勢を改善、世界的に「オランダ・モデル」と呼ばれ注目を集めた。失業率は90年代中盤に再度悪化したが、この時期にも労働時間の弾力化促進や「雇用の柔軟化と安定化に関する法律」の策定(制定は1999年)など継続的な取り組みを進め、失業率は、94年の7.6%から95年7.1%、96年6.7%と再び低下した(数値はOECD「Economic Outlook」による)。
失業率は21世紀に入るまで安定していたが、その後増加に転じた。オランダ統計局による年間の数値(季節調整済)は、2000年3.8%、01年3.4%、02年4.1%、03年5.3%となっている。04年に関しては、オランダ経済政策分析局(CPB)が7%程度との予測を出している。
今年第1四半期では、失業率6.6%、失業者数50万人となり、失業者数は対前年同期比12万8000人の増加。年齢別に見ると、若年者(15~24歳層)の失業率と失業者数が13.8%、12万2000人で、対前年同期の9.9%、8万8000人から大幅に増えた。就学中の人も多いこの世代層の労働力人口は、同世代人口の半分に当たるが、失業者の絶対数が多いことが問題となっている。一方、25~44歳層の失業率は6.1%、45~64歳層の失業率は5.0%と、若年層に比べると落ち着いている。
オランダの雇用統計は、対象月とその前の併せて3カ月間の平均を示す。今年第1四半期の統計が出るまでの過去半年間、失業者数は毎月の発表ごとに約1万4000人ずつ増え続けてきた。最新の数字(2~4月の平均値)は、失業率6.6%、失業者数は49万9000人と、増加が止まっている。04年第1四半期のGDP(国内総生産)速報値も、プラス0.8%と03年のマイナス0.7%から好転している。今後、景気が引き続き回復し、雇用に結びつくかどうかが焦点となる。
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