病気欠勤者数、減少に転じる

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年5月

2004年1月の病気欠勤者数は29万8600人で、1年間で2万5300人減少した。特に歓迎すべき動向は、1年以上の長期欠勤者が減少していることで、2003年11月には13万2600人(前月比3400人減)となった。長期欠勤者が減少した理由は、病気を理由に休む人が減り、1年以内に働き始める人が増えたためである。2003年7月に行われた改革は、病気であるか認定する手続きを改善し、傷病者がパート労働をできる場合には就業を促そうとしていたため、意図した政策効果が生じていると考えられる。ただし、パート労働をしている傷病者はパートタイム傷病手当を受け取っており、医療保険当局は、パート労働者が適切な時期にフルタイム労働に戻るか懸念している。

一方、65歳に達する前に引退し早期傷病退職年金を受給する人は2003年2月から1年間に2万7000人増加し、51万1800人になった。病気欠勤をしていた人の何割かが、早期退職を選択したと思われる。

1年程度の傷病手当給付期間は、他の大部分の国で広く見られるが、スウェーデンのように傷病手当受給期間に上限を設けていない国は少ない(海外労働情報スウェーデン、2003年12月、2004年1月参照)。病気欠勤者が長期間欠勤することが増えているため、全般的な病気欠勤日数の増加につながっていた。

特に、1997年以降、30日以上病気欠勤する人がほぼ倍増し、30日以上病気欠勤した労働者が労働人口に占める割合は2001年には女性6.5%、男性3.5%になるなど、女性の病気欠勤者の増加が目立つ。特に女性では鬱病など比較的軽度の精神障害で欠勤する人が増えており、とりわけ、家庭に高齢者、幼児を持つ女性や、公的部門の医療、ケア部門で働く女性などストレスを感じやすい環境にある人々の間で欠勤者が増加している。スウェーデン統計局の統計によれば、2003年第4四半期の民間部門の病気欠勤率は4.3%と2002年に比べ低下したが、ヘルスケア、病院を含む県(地方自治体)部門では同じ時期に5.8%から5.9%へと上昇している。

政府は、病気欠勤者を減少させるために様々な試みを行っている。2003年7月1日以来、病気欠勤の最初の3週間に、使用者に傷病手当を負担させることとし、従来の2週間から延長させている。さらに与党三党は2003年12月に将来の傷病手当改革について意思表示を行い、使用者による傷病手当負担期間を3週間から2週間に削減する代わりに、2週間を超える期間の傷病手当の15%を使用者に負担させるとした。15%の使用者負担については、何らかの上限を設ける見込みで、中小企業の負担は別途軽減されることとなろう。2005年1月に導入を目指すこの案では、使用者の傷病手当支払義務が解消するのは、傷病者がリハビリを開始し政府から手当を受給するか、常勤の5割の就業時間で仕事に復帰するかのいずれかの場合である。この改革は、現在よりも早期にリハビリを開始させるよう促す。この時期の三党の意思表示には、傷病期間が長期化した場合の使用者負担を増やす方針を示すことにより、現在、進行中の協約交渉で、使用者と労働者に、職場における傷病への対策に着手させるという狙いがある。

政府と労使が取り組んでいる病気欠勤者削減の試みは、実を結びつつあるように見える。病気欠勤者数は3カ月連続で減少し続けており、長期欠勤者、短期欠勤者ともに減少している。失業率の上昇により、病気欠勤で仕事を失うことを恐れる人が増えているとする専門家もあるが、労働省、労働市場庁とも趨勢に変化が起きたと考えている。

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