根強く存続する職業上の男女間格差

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年5月

職場での男女間格差は、この20年間で2つの関係法(1983年のルディ法および2001年のジェニッソン法)が施行されたにもかかわらず依然として残っている。これは3月8日の国際女性デーを契機にまとめられた報告書「男性と女性:平等に対する視線」により明らかとなった。同報告書の中で、国立統計経済研究所(INSEE)は、女性が相変わらず職業上の不平等の犠牲になっていると指摘している。こうした状況の改善を求めて、85団体がパリへのデモ行進を行うなど、波紋が拡がっている。

女性の労働力率は一貫して上昇傾向にあり、現在46.1%(2003年)である。とりわけ25-49歳層の女性では労働力率は81%に達している。しかし、女性の社会的状況は依然として男性に劣ることが様々な指標から示されている。第一に雇用へのアクセスである。女性の失業率は2003年上半期に男性を2ポイント上回った。特に25歳未満の年齢層についてみると、男性は5人に1人が失業者だが、女性ではほぼ4人に1人である。不安定雇用(期間の定めのある契約、見習いなど)に従事している者数も女性の方が多い。特に女性労働者の3人に1人はパートタイマーだが、これは男性の場合5.5%にとどまっている。

第2の指標は賃金だ。民間部門と準公共部門(半官半民)における平均的な男女間格差は2割に達する(つまり、男性=100とした場合、女性の賃金水準はその8割である)。この状況は20年前から変わっていないという(パリ第十大学のラシェル・シルヴェラ経済学助教授)。賃金格差の背景にはさまざまな要因があるが、格差の半分は構造的なものとされている。すなわち、「女性の職場は男性と比べて中小企業、低い職業資格の者が多く、パートタイマーの割合が高い」(シルヴェラ助教授)ということだ。しかし、同一の職業カテゴリーであっても、依然10-15%の格差が存在しているということも指摘されている。

管理職への就き方も賃金格差の要因となる。管理職ポストは過半数が男性によって占められている(男性66%、女性34%)。管理職ポストへ就く女性が少ないのは、企業が求める管理職像が依然として男性を想定したものであること(転勤が可能、夜間勤務ができること等)も一因である。企業では他の価値基準を検討する必要がある。そのための立法措置も必要との意見もある。

シラク大統領はこの報告書を受けて、職業上の平等の実現に努力していくことを宣言した。アムリーヌ職業平等担当副大臣も、この問題を最優先課題として取り組む決意を表明し、平等実現のための行動プログラムを発表した(3月8日)。

しかし、このような政府の対応が、20年にわたる格差の是正にどれだけ効を奏するのか。引き続き注目していく必要がある。

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