非正規労働者の雇用実態と組織化をめぐる動き

カテゴリー:雇用・失業問題労使関係

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  • 国別労働トピック:2004年4月

政労使の間で、非正規労働者問題の解決に向けての取り組みがより活発になっているにもかかわらず、非正規労働者の増加傾向には依然として歯止めがかからないのが現状である。企業の間では人件費削減のために非正規労働者へのニーズが根強く、求職者の間では正規職への就職が厳しいことを理由に非正規職に流れる動きが若年層にまで広がっている。

例えば、オンライン就職情報会社ジョブリンクが会員企業1253社を対象に「2004年の非正規労働者の採用計画」について調べたところによると、その41.5%が「採用を拡大する」、31.5%が「昨年と同じ規模」、18.6%が「採用を縮小する」と答えている。非正規労働者を採用する理由としては「人件費節減」(39.8%)が最も多く、次いで「雇用管理の柔軟性確保」(32.3%)、「業務量の変化への柔軟な対応」(16.5%)、「専門人材の確保」(6.3%)などが挙げられている。

次に、求職者2418人を対象に非正規職への就職について調べたところによると、その89.2%が「正規職への就職が難しい場合、非正規職にでも就職する」、また67.4%が「非正規職でのキャリアは今後の転職活動に役に立つと思う」と答えている。非正規労働者の雇用において改善すべき点としては「低い賃金および劣悪な福利厚生」(42.1%)が最も多く、次いで「雇用の安定」(26%)、「法制度の整備」(18.7%)、「教育およびキャリア開発機会の提供」(8.9%)などが挙げられている。

特に、若年層求職者の間で、「正規職をあきらめ、非正規職にでも就職する」意思がある者の増加傾向が目立つ。例えば、釜山地方労働庁所管の雇用安定センターが30歳以下の若年層求職者1717人を対象に調べたところによると、その62.7%が「非正規職にでも就職する意思がある」と答えている。

一方、現代重工業の社内下請け協力会社(製造ライン請負会社)を退職していた非正規労働者1人が非正規労働者に対する差別撤廃を求めて、焼身自殺を図ったことで、再び非正規労働者問題の深刻さが浮き彫りになっている。現代重工業の社内下請け協力会社160社余で働く非正規労働者は1万5000人余に上っている。そのうち500人余は2003年8月末に「現代重工業社内下請け労組」を結成し、社内下請け協約会社のみでなく、現代重工業に対しても差別撤廃や労災予防策などを要求している。現代重工業労組は社内下請け会社で働く非正規労働者の組織化には及び腰で、非正規労働者の処遇改善にもあまり関心を示していないといわれる。

金属労連と非正規労働センターが従業員500人以上の大企業で働く労働者1422人を対象に調べた「金属産業における社内下請け労働者の雇用実態」によると、下請け労働者の月平均賃金は109万ウォンで正規労働者(155万ウォン)の70.3%にとどまり、それにボーナスなどの特別給与を含めると、下請け労働者は134万ウォンで正規労働者(226万ウォン)の58.9%へとその格差はさらに広がる。正規労働者の勤続年数は平均11.4年に上るのに対して、下請け労働者は3.1年にすぎない。下請け労働者問題の解決策としては、「正規職への切り替え」(47.9%)が最も多く、次いで「同一労働同一賃金原則の確立」(19.2%)、「労組の結成」(14.4%)、「人間的な扱い」(9.0%)、「非正規労働者関連の労働法改正」(5.1%)などが挙げられている。

今のところ、非正規労働者の処遇改善や組織化をめぐっては、上部団体と企業内労組、さらに組合執行部と一般組合員との間に見解の相違が大きい。それを最重要課題として掲げる上部団体の運動方針とは違い、企業内労組の間では、組合員の拒否反応が根強いこともあって、下請け協約会社労働者や非正規労働者の処遇改善や組織化には積極的に動いていないところが多いのが現状である。

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