2004年から自由専門職改革

カテゴリー:労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年3月

専門職の自由化を優先事項の1つとして提案したマリオ・モンティEU競争政策担当委員は、各種専門職組合および連合に対し、それぞれの専門職への参入基準および手数料基準を再検討し、簡素化するよう求めた。また、2004年初めから、ヨーロッパの自由専門職の競争力水準に関する研究の成果を普及することが定められた。同研究は、様々な国で提供されている自由専門職(国によっては、自由とは名ばかりの場合もある)によるサービスを評価する共通基準として機能し、また、専門職改革の必要性を自明にするであろう。

しかし、ブリュッセルで2003年10月末に開催されたモンティ委員と専門職の代表との会合では、専門職側が同報告書の結論に強く異議を唱え、競争力の強化を求めるモンティ委員側と、自らの特権および提供されるサービスの質の拡大を求める専門職側との溝を埋めることはできていない。委員側の基本的な主張は、流通自由の原則と競争の原則である。これらの原則を基礎に、同委員は専門職組合に対し、手数料、専門職への参入、広告、そして専門職の団体形態について見直しを求めている。

イタリアの専門職についていえば、このなかで最も深刻なのは手数料である。イタリアの場合、各専門職ごとに、下限・上限(いずれも適用除外が存在する)の定められた特殊な手数料体系が存在する。こうした手数料のなかには、インフレ率を調整するために改訂されたものあるが、それ以外は、ここ10年以上変更されていない。現在手数料システムを修正中の専門職(弁護士の場合など)もあるが、その道程は著しく困難を極めている。全国アンティトラストの調べによると、イタリアでは、専門職に対する支払いのコストが、企業の総コストの9%に達しているという(ヨーロッパ平均は6%)。手数料について、モンティ委員は、提供されるサービスとの関係で、企業にとって過大かつ不当な負担となるべきではないとしている。リスボン宣言で表明された、ヨーロッパ経済の競争力強化という目的を達成するには、こうしたコストを削減することも非常に重要である。専門職側は、手数料に上下限を設定することは、提供されるサービスの質を確保するために必要と述べているが、EU司法裁判所はこの主張を認めていない。

モンティ委員は、競争力の拡大に関する方法および時期の選択を加盟国にゆだねるとしているが、委員会としては、立法者および専門職組合・組織が自由市場の理念に沿った改革を実行するよう強く要求すると同時に、アンティトラストの地方当局の介入を要求している(2004年5月から、EU本部、各国政府および裁判所と協力して実施される)。

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