労働における満足感

カテゴリー:勤労者生活・意識

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  • 国別労働トピック:2004年2月

労働条件に対する満足・不満足の具体的な表明とは別に、スペイン人労働者は自らの雇用にかなりの満足度を示している。労働における生活の質に関するアンケートによると、スペイン人は自身の雇用を10点満点中6.7点と評価している。また、意外なことに社会的、職業的な違いによる差も極めて少ない。性別では、男性が6.7点と評価しているのに対し、女性では6.6点で、男性のほうがわずかに満足度が高いということになる。

満足度は、20歳未満の労働者を除き、一般に年齢とともに高くなる傾向が見られる。20~24歳の労働者では評価が6.4点であるが、65歳以上では7.7点となっている。これは、年齢とともに労働条件が向上すること、また若年時にはかなえられない様々な希望が年とともにかなえられる可能性が高いことによるものと考えられる。もっとも、より心理的な要因も介在するであろうが、それはここでは評価できない。

労働者の教育水準は労働に対する満足度と高い相関関係にあるが、教育水準の高い労働者ほど、賃金を含めたあらゆる面で条件のよい職を得ていることから、これは当然といえる。一方、民間部門の労働者による評価は6.5点で、逆に公共部門では7.0点と平均を上回っている。しかし満足度が最も高いのは共同組合員(7.6点)で、経営者(7.4%)よりも高くなっており、報酬以外の要因が満足度の決定に影響していることが考えられる。

性別・年齢別・職業状況別・教育水準別に見た労働に対する満足度
(2002年、0=全く満足していない、10=完全に満足している)

(図)性、年齢、職業状況、教育水準別にみた労働における満足度

企業管理職の満足度は7.3点で、続いて技能訓練度の高い非肉体労働者(7.1点)、技能訓練度の高い肉体労働者(6.7点)、非熟練労働者(6.0点)となっている。しかしながら、性別で見ると、満足度が最も高い労働者は軍隊で勤務する女性で、男性の軍人を2ポイント上回る8.6点という、極めて高い評価を下している。

労働に対する満足度は、職種と強くかかわっている。教育部門の労働者では7.2点と非常に高く、初等教育・中等教育の教員を中心に鬱を訴える者が多いことを考えると矛盾しているようにも思える。金融部門(7.2点)、エネルギー部門(6.9点)、水産業(6.9点)でも、平均をかなり上回る評価を示している。一方、家事労働従事者では5.6点と極めて低く、スペイン人労働者全体の自己の労働に対する平均的な評価から唯一大きくかけ離れている。また、農業労働者も6.2点と、評価は低い。いずれの場合も、女性のほうが男性よりいっそう低い評価となっている点が特徴である(それぞれ5.6点および5.7点)。

地方別で見ると、評価が高いのはカナリアス州(7.1点)およびバレアレス州(7.0点)である。ところが、労働者の満足度にとって最重要な賃金は、これら2州では平均よりも低くなっており、注目される。逆に評価が低いのはカンタブリア州(6.5点)、アンダルシア州(6.6点)、バレンシア州(6.6点)、バスク州(6.6点)等である。人口1万人以下の町に居住する労働者では評価が6.9点で、人口10万人以上の都市居住者(6.6点)よりも高い。このように、労働に対する満足度と居住している市町村の規模との間には相関関係が見られるが、これは通勤時間の影響によるものではないかと考えられる。人口の多い都市においては、特に女性労働者による評価が男性よりも低くなっている。

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