CES報告書:「フランスは外国人労働者を増やさないと労働力が不足する」
経済社会審議会(CES)は、「わが国経済で確認・予測されている需要を勘案して、従来以上の移民への抑制的・組織的な国境開放」を提案しつつ、移民依存の必要性に関する議論を再燃させた。「今後の移民問題」に関するこの最終答申は10月29日に、賛成83票、反対78票、棄権24票で採択されたものの、「労働移民」への依存に対しては依然として見解が分かれていることが証明された。
CESの最終答申は、4年前に国連によって開始された議論に再び火をつけることになった。「代用移民:減少・老齢化する人口への対策」と題する国連報告書は2000年3月に大きな反響を呼んだ。国連報告書によると、欧州連合(EU)が1人の老齢退職者を4人から5人の現役で支える現在のバランスを維持するには、2025年までに1億5900万人の外国人に門戸を開かなければならない。フランスの場合、年間76万人、2025年までに2300万人となる。国連報告書はこの途方もない計算のために、低下傾向にある欧州の出生率に基づき、来るべき四半世紀にわたって単純な人口データ予測を用いた。
この驚くべき予測は、フランスの2002年の合計特殊出生率を女性1人当たり子ども1.9人に設定しているため、計算基礎が問題だとして、数多くの人口学者から批判を浴びた。実際のところ、フランスはアイルランドに次ぎ欧州第2位の出生率を誇っており、世代更新可能な閾(いき)値に近い数字(女性1人当たり2.07~2.08人の子ども)を維持しているからだ。
この推計は国家経済計画庁がフランスにおける外国人労働力需要を大幅に緩和させた最新の分析に基づいている。2002年11月に発表された「移民、労働市場、同化」と題する報告書は、家族の呼び寄せ、季節的もしくは永久的な労働契約、さらには学生もしくはフランス人の配偶者といった形で、合法的に入国する10万人程度の外国人をフランスが毎年受け入れていると指摘する。したがって、全人口に対して移民者が7.5%という「適度な水準」にあるフランスは最も移民を必要としない国だった。
計画庁は、フランスが出生率の低下を移民の上昇と関連づける必要があるとは考えていなかった。健全な人口を持つ国は2005~2006年に迎えるベビーブーム世代の定年にも落ち着いて対処できるというわけだ。移民枠を拡大する場合、計画庁は世代の更新に必要な水準を年間で追加的な移民者2万人程度と見積もっていた。
計画庁にとっては、「経済的な必要性をはっきりと掲げながら」移民・雇用政策を新たに方向づける必要があった。例えば、フランスが4000人しか確保できなかった同じ時期に、ドイツは8000人の情報技術者を引きつけることに成功した。計画庁の専門家は、フランスの魅力を高めるために、「グリーンカード」(米国で実施されている労働許可証)のような許可証の導入を検討するべきだと勧告している。
今回、CESも労働力需要がフランスへ労働者として合法的に入国する移民者数(2002年の場合、基本的には欧州人ばかり9000人)を上回ると推計し、毎年1万人程度の追加的な外国人労働者の導入を勧告した。CES報告書は、新技術、サービス、衛生・社会福祉部門、観光などの競争の激しい部門だけでなく、建築、レストラン業、農業などの非熟練部門でも同じだけの労働力需要があると指摘する。
そして、求職の場合であれ、職業能力の向上を図る場合であれ、「移民計画」を持つ非欧州系移民者に対して政府は「有期ビザ」を発給する必要があるというのがCESの見解だ。さらに、CESはすでにフランスに住んでいる不法移民者を合法化するべきだと主張する。「これらの措置は、不法移民者を地下経済から脱出させることになり、労働市場と国の両方が利益を享受できる」という。
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