航空運輸労組と郵便労組の賃金改定交渉

カテゴリー:労使関係労働条件・就業環境

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  • 国別労働トピック:2004年12月

スカンジナビア航空(SAS)は、10月6日、航空運輸労組との間で、新賃金協約を締結した。同労組は、10月11日からのストライキを構えて交渉に臨んでいた。スカンジナビア航空側は、パイロット及び客室乗務員との間で合意した3年間の協約と同様、航空運輸労組に賃上げの凍結と労働時間の延長を要求していた。

新協約は、2004年10月から2007年末までの39カ月間、主に手荷物を扱う3000人のブルーカラー労働者に適用される。協約期間の賃上げは合計7.9%、賃上げ額は、毎年500スウェーデン・クローネ(SEK)(注1)である。協約は賃金に関してのみ結ばれており、使用者が要求していた労働時間の延長は含まれていない。

スウェーデン、ノルウェー、デンマークのスカンジナビア航空労働者を組織している38の労働組合は、会社の財務状況の悪化に伴い、2003年及び2004年の賃金凍結を受け入れていた。航空運輸労組は当初2003年の賃金凍結を受け入れなかったが、2日間のストライキを実施した末、部分的な遡及賃金の支給と引き換えに2003年の賃金凍結に同意した経緯がある。

スカンジナビア航空は、最近、自社の地上サービス部門を廃止し、その業務をアウトソーシングする計画を発表した。そうなると約900人の労働者が職を失うこととなる。

使用者団体や政治評論家らは、組合の実力行使による影響が昔に比べて甚大となった今日において、労働争議に関する現行法規は完全にバランスを欠いており、改正の必要があると主張している。

似たような状況が郵便労組(SEKO)の賃金交渉においても発生した。SEKOは、ストックホルムの3つの郵便局労働者2000人が10月25日から時間外・超過労働を一切拒否する戦術を楯に、郵便労働者約3万人の労働条件に関し、使用者側(Almega)との交渉に臨んだ。その結果、初任給を1万2657SEKから1万4000 SEKに、勤続3年後の賃金を1万4920 SEKから1万7500 SEKにそれぞれ引き上げることで合意した。3年間の賃金上昇率は、産業平均より0.5%ほど高い7.9%となる。

SEKOは、郵便産業第2の規模の組合であり、使用者を交渉に引き出すためにストライキの脅しをかけた。サービス産業の交渉においては、パターン・セッターの交渉が決着すると、他の労使もそれに追随する傾向がある。

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