祝祭後、首都に移住する失業者の取り締まりを開始
インドネシアの断食明けの大祭「イドゥル・フィトリ」は、今年は11月14日から16日に当たっていた。祭日明けの首都ジャカルタの駅は、休暇を利用した里帰りから戻ってきた旅客であふれた。これに加えて、田舎で職を得られない大量の失業者が、この機会に仕事を求めてジャカルタに上京してきたとみられている。ジャカルタ当局は定職を持たない市内への移住者を取り締まるため、居住者の身元確認を開始することを最近明らかにした。
帰省した市民数を上回る失業者が流入
首都ジャカルタでは市外からの求職者の流入が続いている。ジャカルタ・ポスト紙によれば、イドゥル・フィトリの祭日後にジャカルタ市内の駅に到着した旅客数はそれを顕著に表している。例えば、ジャカルタ中心部の鉄道の駅セナン。休暇中の里帰りからここに戻ってくることが見込まれていたジャカルタ市民の数は2万5000人だった。しかし実際には、「イドゥル・フィトリ」から3日後・4日後の2日間だけで約4万人が到着した。予定より1万5000人も多かったわけだが、これは地方から仕事を求めてジャカルタにやってきた求職者とみられている。
市内のバスターミナル、プロ・ガジュンでも同じような状況がみられた。祭日前の出発客数7万1000人に対し、祭日後に到着した数は15万人に上ったという。
移住者取り締まりのため身元確認を開始
しかし、非熟練労働者がジャカルタで仕事を得ることは難しいといわれている。現実に多くの失業者が滞留し、それに伴う犯罪の増加など治安や環境の悪化も問題視されている。ジャカルタのスチヨソ市長は、新たな条例に基づき市民の身元確認を始めることを明らかにした。市民はジャカルタのIDカードか、市内での継続的な仕事及び住居があることを示す書類のいずれかを携帯しなくてはならない。都市人口・市民登録協会(the City Population and Civil Registration Agency)にこれらを示すことができない者は、500万ルピア(555USドル)(注1)の罰金が科せられる。予定ではこの身元確認は11月22日から開始される(11月20日付けジャカルタ・ポスト紙)。
このチェックシステムが完全に機能すれば、必要な書類を持たず、罰金も払えない求職者たちは地元に帰らざるをえない。しかし市民の反応としてはジャカルタ・ポスト紙によるインタビューを見る限り、このような取り締まりを続けることはコストが高すぎるため不可能であり、事態が改善されるとは思えないと、いまのところ悲観的な見方のようだ。
注
- 1ドル=103.19円(※みずほ銀行ウェブサイト2004年11月30日現在)
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